「リスクマネジメント対策として、いま何をやっていますか?」
そう聞くと、事業種別を問わず、ほぼすべての事業者で手があがるのが「介護事故報告書」です。
コンサルティングや相談で、まず見せてもらう書類が、その「介護事故報告書」です。
行政からの指導もありますから、「事故報告書はない」というところはまずありません。
しかし、「介護事故報告書を見せてもらえますか?」と依頼すると、
ほとんど(ほぼすべてと言ってよい)の特養ホーム、高齢者住宅で「えぇ~」と管理者の顔が曇ります。
「事故報告書が上手く書けないスタッフが多くて、お恥ずかしい…」という、言い訳の先払いも同じです。
恥ずかしくはありません。そのためにコンサルティングをしているのですから…
出てきたものを見ると、これもほぼすべて共通しています。
◆ 誤字脱字が多く、嫌々書いていることが文章から伝わってくる
◆ 「今度から気をつけます」 といった反省文・言い訳文
◆ どのような事故が起こったか、何が原因なのか、まったくわからない
◆ 事故の経緯や発生後にどのような対応をしたのかわからない
◆ インターネットや関連書籍から借りてきたような文章・内容
◆ 事故から一週間、二週間という相当の時間が経過してからの報告書
なぜ、はじめに私たちコンサルタントが、「介護事故報告書を見るのか…」というと、
それが、その事業者のリスクマネジメントのレベルを測る指標になるからです。
「リスクマネジメント対策として、事故報告書を作成している・・」と言いますが、
実は、このような事故報告書は、無駄・無意味というよりも、リスクマネジメントの反対の対策、
つまり、事故リスクを高め、スタッフの意識を低下させる最悪の対策なのです。
どうして、このような介護事故報告書が、介護業界では横行しているのか。
まずは、現在の介護事故報告書の課題と、その原因について考えます。
この記事へのコメントはありません。