介護準備において、子供家族や親しい親族の協力を得られれば、それは強い味方となります。子供の側から親に認知症や要介護の話をするのはハードルが高いため、親側から切り出して話をする、できれば電話ではなく、お正月やお盆などに顔を合わせて話をするというのが基本です。
ただ、「介護の話をしなければ…」と勢い込んでしまうと、うまく行かない可能性もあります。
親子で介護の話をするときには、いくつかの注意が必要です。
感情的にはならないこと
介護や老後の話は、あまり楽しい話題ではありません。
逆に、小さなボタンの掛け違いで、感情的になりがちな話題です。
「認知症とか、そんな歳じゃないだろう。まだそんな話、聞きたくないよ」
「お前たちに負担をかけないように考えているのに、なんだその言い方は」
そう感情的にこじれてしまうと、介護や将来の話はできなくなってしまいます。だから、最初は「介護になった時のことをいろいろ考えてる」「できるだけ負担をかけないようにしたいと思っている」ということが伝わるだけでも十分です。

【自分の意見だけを押し付けないこと】
テレビの情報番組でも、老後生活のヒント、認知症や要介護にならないための工夫といったテーマが増えてきました。そうすると、こっちの方が安全だから、大学の先生が言ってたからと、そんなつもりはなくても、自分の意見だけを押し付けたような話になります。
些細なことであっても、「あれも必要」「これも必要」と押し付けると精神的な負担になりますし、それでは長続きはしません。「テレビで遠距離の見守り機器の最新情報やってたけど、また時間のある時にインターネットで調べてみてね」くらいで十分です。
【すぐに答えを出そうとしない】
一歩でも先に進もうとすると、すぐにできる答えを探してしまいます。そろそろ将来のことや介護について考えるべき、話をしたいと思っていても、子供家族はまだ深刻に思っていない、来週の子供の運動会や営業会議のことで頭がいっぱいというタイミングの問題もあります。
「介護が必要になったら…」という過程の話だけは、前に進みませんし、その時の年齢や要介護状態によって、必要な対策は変わってきます。とくに、七〇代でまだ元気な時は、今すぐに何か答えや方向性を出さなければならないというものではありません。
答えを出すことではなく、一緒に少しずつ考え始めることが大切です。

ネガティブな話にしないこと
一番大切なのは、ネガティブな話にしないということです。
介護が必要になったら、認知症になったらというのは楽しい話ではありません。「あんなとき、こんなとき」と、悪いイメージしか思い浮かばず、介護の話をすることが互いに苦痛になっていきます。
そうならないようにするには、「いまのまま、できるだけ長く、元気に安全に、自由に楽しく暮らせるためには、どうすべきか」という、介護予防などのポジティブな話を中心にすることです。
そのために、いま何をすべきか、どんなことに注意すれば、それがかなえられるのかを一緒に考えると、その先の明るい未来が見えてきます。

ここまで四つのポイントを上げました。
「介護準備」は、すべての高齢者にとって必要不可欠な対策ですが、同時に「要介護になったら…」「認知症になったら…」と言う話は、したくない、また聞きたくない話なのです。
いきなり、「寝たきりになったら、認知症になったら…」と切り出されても、家族はびっくりして、「お父さん、まだ元気じゃない…」となるのは当然なのです。
この「親子が介護に向き合い始めるときの4つの注意点」は、親から話す場合、子供から話す場合、どちらにも当てはまることです。「うまく話そうと思っていたのに、感情的な言い合いになって、介護の話などできなくなった」と言うケースは少なくないのです。
介護準備は「すぐにやれ」「急いでやれ」というものではありません。「自分でも、老後のこと、介護のことをいろいろ考えている」ということを伝えることから始めましょう。


























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