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ニュースを読む : 【ニュースを読む】~介護労働安定センター「平成21年度介護労働実態調査」を読む①~
投稿日時: 08月28日 (1907 ヒット)

 【ニュースを読む】
 ~ 介護労働安定センター 「平成21年度 介護労働実態調査」を読む ①~

 介護労働安定センターは、8月16日「平成21年度 介護労働実態調査」の結果を発表した。
 調査は、昨年11月に行われ、全国の介護サービス事業者7515事業所(有効回答44.6%)、労働者調査では20630人(同40.8%)から回答を得た。
 当該調査は、毎年アンケート方式によっておこなわれている。

資料 平成21年度 介護労働実態調査 pdf
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【解説・論点】
 当該調査は、事業所における介護労働の実態及び介護労働者の就業の実態等を把握し、明らかにすることによって、介護労働者の働く環境の改善と、より質の高い介護サービスの提供を目的として、毎年、アンケート方式によっておこなわれているものです。単年度のアンケート結果だけでなく、前年度のデータと比較することによって、介護労働者の働く環境の変化や現在の介護労働市場の動きを見ることができます。
 平成21年度 介護労働実態調査から読み取れるもの、また、それを経営にどのように生かしていくのか、数回にわたってポイントを解説します。

 一回目は、介護サービス関連従事者の過不足状況です。
 介護サービス業界は、慢性的な介護労働者不足に陥っていると言われています。
 しかし、昨年と比較すると、それは改善されていることがわかります。
 訪問介護員、介護職員、看護職員、ケアマネジャーなど介護サービス事業所で働く職員の過不足状況の質問に対し、「不足している」(大いに不足、不足、やや不足)と答えた事業者は、平成20年には63.0%だったものが、平成21年には46.8%と大きく減っています。同時に、現在の状況を「過不足なく適当」と答えた事業者は、平成20年の36.5%に対し、平成21年には52.3%と大きく増加しています。

 このように全体的に見ると、介護現場での人手不足が緩和されているのですが、その一方で、同じ介護サービス事業者でも業種間でバラつきがあることがわかります。現在でも、訪問介護では2/3の事業者が不足を感じているのに対し、特養ホーム・老健施設・通所介護などで働く介護職員は、逆に2/3程度の事業者は充足していると答えています。

全  体 ・・・・・ 「不足・・46.8%」「適当 / 過剰・・53.2%」
訪問介護員・・・・・ 「不足・・64.3%」「適当 / 過剰・・35.7%」
介護職員 ・・・・・ 「不足・・38.4%」「適当 / 過剰・・61.7%」

 これには二つの理由があると考えています。
 一つは、働き方の違いです。
 介護労働市場は単独のものではなく、全体の労働市場・雇用環境に大きく影響されます。介護現場での人手不足が改善された理由は、長く続くデフレによる景気後退、雇用環境の悪化によって、他業種から介護市場に人が流れ込んできたことによるものです。

訪問介護員・・・・・ 「正社員・・15.4%」「非正社員・・83.3%」
介護職員 ・・・・・ 「正社員・・56.2%」「非正社員・・42.8%」

 そう考えると、介護労働の中でも、生活の補助的お金を稼ぐ短時間のパート労働(登録ヘルパー)が基本となる訪問介護ではなく、生活の主となる正規職員・常勤が中心となる特養ホームの介護職員になりたいと考える人が増えたということがわかります。「景気が悪くなると介護労働者が増える」という人がいますが、介護サービス内容からくる働き方の違いによって、介護労働市場の中にも大きな差があるのです。
 
 もう一つは事業内容の違いです。
 老人ホームや老健施設の場合、入所者の定員は決まっていますから、当然働く介護職員の数も一定です。この人数を基準にして「充足している」「不足している」と考えることになります。  これに対し、訪問介護は、施設サービスのように利用定員というものがありません。登録ヘルパー数が増えても、それを上回る利用希望者がいる場合「不足している」ということになります。要介護高齢者は右肩上がりでふえているのですから、事業者から見れば「ホームヘルパーが足りない」ということになるのです。

 以上2点挙げましたが、この介護労働者の働き方の違い、事業内容を理解することは、住宅型有料老人ホーム、介護付有料老人ホーム、どちらの事業を行う上でも、非常に重要です。
 人件費を抑えるためにパート労働者・非正規労働者を多く算定している事業計画をよく見ますが、それでは必要な介護職員は集まりません。要介護高齢者を対象とした高齢者施設・高齢者住宅事業の場合、入居希望者がいても介護スタッフが集まらなければ、高齢者を受け入れることすらできません。しかし、その一方で一日24時間の中でも必要なサービス量は変化しますから、パート労働者を効率的に配置するということは、経営効率化のために非常に重要なポイントです。
 現在、住宅型有料老人ホーム、高専賃などで、訪問介護を併設したものが増えていますが、区分支給限度額方式で行う場合、食事介助が必要な高齢者に対して、朝食時、昼食時、夕食時の三回の訪問介護が必要になります。これが必要な高齢者が5人、10人となった場合、それに合わせて訪問介護スタッフが必要になりますが、そう都合よく、ホームヘルパーが確保できるわけではありません。
 これは地域性にも影響します。パート労働者は3~4時間程度の労働ですから、わざわざ遠くから時間をかけて通勤するという人はありません。その近隣に住む人だけが対象となりますので、駅や市街地から遠く離れた老人ホームでは、パート職員や登録ヘルパーを募集することはより難しくなります。
 介護スタッフの確保は、高齢者住宅経営の根幹です。景気の動向によって介護労働市場は変動しますが、それ以上に、その地域性や働き方をイメージして、事業計画を推進しなければならないのです。


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