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ニュースを読む : 【ニュースを読む】介護労働安定センター「平成21年度介護労働実態調査」を読む②
投稿日時: 08月31日 (1574 ヒット)

 【ニュースを読む】
~ 介護労働安定センター 「平成21年度 介護労働実態調査」を読む ②~

介護労働安定センターは、8月16日「平成21年度 介護労働実態調査」の結果を発表した。
 調査は、昨年11月に行われ、全国の介護サービス事業者7515事業所(有効回答44.6%)、労働者調査では20630人(同40.8%)から回答を得た。
 当該調査は、毎年アンケート方式によっておこなわれている。

資料 平成21年度 介護労働実態調査 pdf
※ リンク先のニュースは、時間の経過等によって削除されることがあります。


【解説・論点】
 2点目は、離職率です。
 一年間の離職率を見ると、平成21年度は17.0%となっており、平成20年度の18.7%と比較すると-1.7%となっています。雇用動向調査(平成20年)によると全産業の平均離職率は14.6%ですから、まだ高いものの、少し改善していることがわかります。これも雇用環境全体が悪化していることが一つの要因だと考えられます。

 しかし、データを精査するとこの離職率もサービス種類毎に大きな差があることが見えてきます。

 

採用率

離職率

増加率

訪問介護

19.2%

12.9%

6.3%

特定施設入居者生活介護

38.4%

29.1%

9.2%

介護老人福祉施設

22.3%

15.1%

7.2%

介護老人保健施設

23.0%

16.3%

6.7%


 サービス種類毎に、採用率・離職率を抜粋したものが上記の表です。
 これを見れば、平均の離職率は17.0%ですが、訪問介護や老人福祉施設などは平均を下回っているものの、介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)は、29.1%と群を抜いて高いことがわかります。

 

10%未満

10~20%未満

20~30%未満

30%以上

訪問介護

49.3%

20.5%

13.5%

14.1%

特定施設入居者生活介護

17.7%

23.6%

17.4%

39.5%

介護老人福祉施設

39.6%

32.6%

14.8%

12.7%

介護老人保健施設

39.3%

31.7%

13.6%

15.0%


 更に、事業所別に一年間の離職率の違いを見た場合も、それは顕著に現れています。
 一年間の離職者が30%を超える事業者は郡を抜いて高くなっており、4割近くとなっています。10人スタッフがいればその内3人が、1年以内に入れ替わるということです。また、今回のデータでは集計されていませんが、2006年の大規模調査では、特定施設入所者生活介護では1年以内の離職率が60%を超えるというデータが示されています。
  全体として見ると、厳しい労働に対して労働条件が低いということが、人材不足の一員であることは間違いありません。また、訪問介護と比較すると働き方の違いもあるでしょうし、特養ホーム(介護老人福祉施設)と比較する給与の違いや地域性もあるでしょう。それでも、突出して高く、3倍もの違いがあるというのは驚きです。
 
 私は、その理由の一つは研修・教育不足にあると考えています。
 特養ホームや介護付有料老人ホームの介護職員は、訪問介護とは違い、資格は必要ありません。しかし、その一方で、専門的知識が必要なサービスです。対象者は要介護高齢者ですから、小さなミスでも命にかかわるような事故となる可能性が高く、ストレスやプレッシャーが重く圧し掛かります。
 その業務内容を考えると、最初の半年程度は一人分のスタッフとしてカウントすることはできず、基礎的な介護技術、注意点、入居者一人ひとりの病歴や状態など注意しなければなりません。私も転職して介護職員として働き始めたころは、不安で一杯でした。
 しかし、絶対的に介護職員が不足してくると、業務に追われるために十分な研修や教育が行われないまま、一人分として勤務に組み込まれることになります。それは免許もなく、練習もしないで車を運転するのと同じです。最近は、事故の発生でスタッフ個人が刑事罰に問われるようなケースも出てきています。そのような状況の中で、仕事が続けられる訳がないのです。
 
 ですから、この離職率は、特養ホーム・介護付有料老人ホームでも事業者によって、かなりの差があると考えています。介護サービスは継続的なケアが必要ですから、スタッフが次々と入れ替わるような事業者は、介護の質は低く、確実にトラブルや事故が増えることになります。
 安心して介護スタッフが働くことのできないような老人ホームは、入居率の高い低いに関わらず、事業を継続することはできないのです。


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