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ニュースを読む : 【ニュースを読む】~「高年齢者の雇用・就業の実態に関する調査」を読む①~
投稿日時: 09月03日 (1500 ヒット)

 【ニュースを読む】
~ 「高年齢者の雇用・就業の実態に関する調査」 を読む ①~

独立行政法人 労働政策研究・研修機構は、7月5日「高年齢者の雇用・就業の実態に関する調査」を発表した。高齢者の就業や生活の実態、就業や生活に関する意識を調査するもので、55歳~69歳の男女5000人にアンケートを実施。有効回収率72%。

資料 高年齢者の雇用・就業の実態の関する調査
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【解説・論点】
少子高齢化の進む日本において、「高齢者の働き方がどうあるべきか」は、大きな課題の一つです。
 7/5に発表された「高年齢者の雇用・就業の実態に関する調査」を基礎として、検討すべき課題をいくつかの論点に分けて考えて見たいと思います。

 一つは、「個々の高齢者の生活」の視点からの労働です。
 「体力の続く限り続けることができる」「仕事をやめる時を自分で決めることができる」という自営業者や会社経営者は別として、全就労者の8割を占めるサラリーマの場合は、企業が一定の定年制を定めているのが一般的です。
 そしてこの定年年齢もその時代の変化によって変わってきました。
 現在、日本の企業の大半は60歳定年制をとっていますが、1970年頃は55歳が一般的でした。
 当時の日本は、終身雇用制、年功序列型の賃金体系で、団塊の世代を中心とした労働力人口は多く、労働力は豊富でした。一つの会社で勤め上げ、高度経済成長の中で潤沢な退職金をもらい、60歳から年金をもらって、悠々自適な生活を送るというのが、一つのスタイルでした。
 しかし、現在、そのスタイルを満喫できる人は、公務員を除き、一般企業ではそう多くはありません。
 働き方が多様化し、終身雇用制度は崩れています。加えて、景気も悪化していますから、大手企業でさえ「リストラ」という言葉に代表されるように、定年前に早期退職を余儀なくされるというケースが増えています。当然、早期退職しても、悠々自適な生活を満喫できるほどの退職金は望めず、第二の人生の収入源は、自分で計画・確保しなければなりません。
 更に、60歳定年まで働くことができても、老齢年金がもらえるのは65歳からです(報酬比例部分を除く)。
一定の退職金がもらえても、まだその後の人生は20年~30年も残っています。高齢期になると医療や介護などの不安が高くなりますし、それまで同様に、世間との付き合いもありますから、年金収入だけでは不十分です。
 
 この調査報告にも、その実態が如実に現れています。
 60歳以降も働いている人に、その理由を尋ねると、経済的な理由が60歳~64歳で72.3%、65歳~69歳でも56.1%に上っています。

 

経済上の理由

健康上の理由

生きがい

頼まれた

時間に余裕

その他

60歳~64歳

72.3%

13.3%

21.9%

9.4%

12.7%

5.1%

65歳~69歳

56.1%

19.7%

25.0%

18.1%

18.1%

5.2%


 更に、上記の「経済上の理由」を具体的に聞くと、「生活水準を上げるため」ではなく、「生活を維持するために働く」という人が、65歳以上でも全体の8割を超えています。
 つまり、65歳以上になっても、働かなければ生活を維持することができない、また働かないと将来が不安だという人が多いということです。

 

自分と家族の生活維持

生活水準を上げるため

その他

60歳~64歳

86.1%

8.8%

3.7%

65歳~69歳

81.5%

12.5%

5.3%


 この傾向は、今後、更に進むと考えています。
 2010年8月27日に発表された総務省の「平成21年 家計調査年報」を見ると、2500万円以上の貯蓄を有する世帯は31.6%を占めており、他の世代の1.5倍となっています。「高齢者は若年層と比較してお金持ちだ」という人がいますが、これは当然のことで、退職後は新しい収入確保の手立ては限られるのですから、高齢期はそれまでに貯蓄した資産を取り崩して生活するというスタイルになります。「景気を良くするために、どんどん高齢者にお金を使ってもらおう」と言っても、将来の生活不安があるままでは難しいでしょう。
 更に、高齢者の貯蓄残高は、平成14年以降大きく減っており、また高齢者の間でも、格差が大きくなっているということも指摘されています。
 企業の定年は、これまでのような「仕事からのリタイア」「悠々自適な生活の入り口」を示すものではありません。多くの高齢者にとっては貯蓄や年金だけで安心して生活できる訳ではなく、定年後も働ける内は働かないと生活を維持できないという時代になっているのです。


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