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ニュースを読む : 【ニュースを読む】~「100歳の高齢者 住所不明23万人超」を読む~
投稿日時: 09月17日 (1469 ヒット)

 【ニュースを読む】
~ 「100歳の高齢者 住所不明23万人超」 を読む ~

9/10 法務省は、戸籍に現住所が記載されていない100歳以上の高齢者は、全国で234,354人になると発表した。このうち120歳以上が77,118人、150歳以上は884人だった。120歳以上の高齢者は、すでに死亡したものとして、戸籍から削除する方針を示した。

資料 所在不明高齢者の戸籍削除への対策について
※ リンク先のニュースは、時間の経過等によって削除されることがあります。


【解説・論点】
 東京都区内で、生存していれば111歳とされていた男性の白骨死体が発見されという事件を受けて、高齢者の現況把握を行ったところ、都内最高齢の113歳の女性も所在が不明だったことがわかり、問題が一気に表面化しました。

 届け出制度の不備、地域ネットワークの崩壊、行政の怠慢、個人情報保護の弊害など、様々な原因が指摘されていますが、住民台帳、社会保障番号など、どの管理方法を取るにしても、すべてを正確に把握するのは限界があるのかもしれません。  

 上記の個々の事件を見ると、『どこに行ったのかわからない』『実は亡くなっていた』のに、年金を不正受給していたという詐欺事件としてクローズアップされていますが、この一連の問題を耳にするたびに、お金の問題にはとどまらない、痛ましい事件が背景にあるものもあるのではないかと考えざるを得ません。  

 それは、『介護放棄・介護虐待』です。
 7月末、大阪市西区のマンションで4歳と1歳の姉弟が、母親から置き去りにされ、亡くなったという悲惨な虐待事件が発生しました。小さな子供を放置すると死亡することがわかっていながら、育児を放棄した母親は、殺人罪で起訴されています。  人が亡くなった場合、自然死なのか、事故死なのか、また事件性があるのか、必要があれば司法解剖をするなどして調べる必要があります。火葬の許可のためには、医師の死亡診断書が必要ですが、その理由が分からない場合、医師は警察に届け出る義務があります。最近、孤独死が増えていますが、必ず、事件性の有無(自然死か異状死か)について警察が入ります。
 育児同様に、同居する家族には、保護義務があります。しかし、少なくとも、同居していた家族が『気がつけば死んでいた』『そのまま放っておいた』という話を聞くと、その人が生きている時、病気になったり、食事ができなくなった時に、最低限、保護責任者(家族)として、必要な対応をしていたとは思えません。また、同様に、生前に、その高齢者が受け取っていた年金や資産が、その高齢者の意思で、その高齢者のために使われていたとはとても思えないのです。  

 育児放棄と比較すると、『介護放棄・介護虐待』の問題は、それほど大きく報道されませんが、厚労省の資料によると、自宅等(介護施設を除く)で確認された高齢者への虐待件数は平成20年には14889件と、平成19年と比較すると12.2%(1616件)増加しています。また、それは氷山のごく一部でしかありません。  この事件に対して、『年金詐欺』と言ったお金に関わる問題は大きく報道されますが、その背景に間違いなくある介護虐待・介護拒否といった問題には、『もうわからない』と蓋をされたままのように感じます。

 このような介護虐待・介護放棄の問題は、今後、更に増えていくと考えていますが、逆にこれを発見し、保護する制度は、全く進んでいません。
 このような問題には、これまで老人福祉法・社会福祉法人が中心となって取り組んできたのですが、介護保険の中に取り込まれてしまったために、その役割が曖昧となっています。訪問介護、通所介護サービスは、営利事業と競争することが主目的になってしまい、その一部は『介護サービス事業者』と変わらなくなっています。全体的に『介護虐待・介護拒否』といった難しく、時間のかかる問題に対して、積極的に取り組もうとする姿勢は、少なくなっていると感じています。

 市町村でも対策は進んでいません。この虐待問題にたいしては、周知は行っているものの、『関係専門機関介入の支援ネットワークの構築』『保険医療福祉サービス介護支援ネットワーク構築』など、その実務的な取り組みは、50%に満たず、ほとんど進んでいないのが現状です。つまり、通報しても、それをどのように解決するのかという実務的な取組みが全く示されていないのです。特養ホームの緊急支援の役割も、ほとんど活用されていないというのが現実です。

 高齢者は、子供のように、大声で叫んだり泣いたりするわけではなく、通報による発覚は多くありません。
 ただ、医療や介護など、高齢期には不可欠なサービスの利用を一体的に把握すれば、このような問題は確実に減るはずです。特に、介護の問題は、ある日突然、全く必要がなくなるというケースはほとんどありません。
 『高齢者の行方不明』は、お金の問題ではなく、『介護虐待・介護拒否』など、高齢者の生命に直結する問題です。各自治体は、責任逃れのために軽く考えるのではなく、視点を変えて、高齢者の安否確認に真剣に取り組むべきではないかと思います。


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