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ニュースを読む : 【ニュースを読む】~「特養ホームは個室か相部屋かの論点①」を読む~
投稿日時: 09月24日 (1977 ヒット)

 【ニュースを読む】
~「特養ホームは個室か相部屋か の論点①」を読む~

 現在、特養ホームの居室は、厚労省の指導に従ってユニット型個室が推進されてきたが、一部の地方自治体からは、従来の相部屋も認めるべきだとの提言がなされ、議論が活発化している。
 『個室か相部屋か』の議論の中で検討すべき論点はどこにあるのか、今年の3月に独立行政法人福祉医療機構が行った『ユニット型特別養護老人ホームの実態調査について』を元に、数回に渡って現在の特養ホームの制度の課題とあり方について考える。

資料 ユニット型特別養護老人ホームの実態調査について PDF
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【解説・論点】
 ユニット型個室特養ホームの最大の課題は、ホテルコストの高騰です。

 特別養護老人ホームは、営利事業ではなく公的な福祉施策を担う第一種社会福祉事業です。この第一種社会福祉事業は、他のデイサービスやホームヘルプサービスと違い、利用者(障がい者、高齢者など)の身体や生命に深く関わる事業として民間参入が認められていません。特別養護老人ホームの他、身体障がい者厚生施設、知的障がい者厚生施設、乳児院など、主に入所施設です。

 しかし、他の第一種社会福祉事と比較すると、その利用方法は大きく違います。他の福祉施設は、各市町村の福祉事務所・児童相談所などを経由して入所が決められるのに対し、特別養護老人ホームでは、入所者選定に行政は関与していません。民間の有料老人ホームや一般サービスと同じように、各特別養護老人ホームと入所者・家族との個別契約によって入所することになっています。  

 行政による措置入所ではなく、入所者・家族の選択の幅が広がっているということですが、それに付随して同じサービス内容・利用料も一律ではなくその格差が広がっています。他の福祉施設では、入所費用や自己負担額は国に定められていますが、特別養護老人ホームの場合は、同じ知識内でも介護保険以外の居住費や食費などのホテルコストは、施設ごとに建設費等を勘案して決めて良いことになっているからです。

 ただし、基準となる金額は以下のように定められています。
 私は、当初、この基準額を上限だと捉えていました。また、各事業者でホテルコストの金額が決められることになっても、地方自治体による指導・監査に従って作られるために、それほどの差がでるはずがない、規準額を大きく超えることはないだろうと考えていました。

厚労省の定めたホテルコスト基準額 ・・・ 1970円 (一日)(ユニット型個室)
厚労省の定めたホテルコスト基準額 ・・・  320円 (一日)(相部屋)
厚労省の定めた食費基準額 ・・・ 1380円 (一日)

 しかし、現在、基準額は最低価格となっており、更にホテルコストの差は大きくなっています。
 調査は、平成18年度に独立行政法人福祉医療機構の融資制度を利用したユニット型個室特養ホーム(83施設)を対象に実態調査を行ったものですが、この基準額の平均は2396円となっており、中央値は2100円、最大値は倍以上の4500円です。社会的弱者に対するセーフティネットとして同じ基準で作られたはずの福祉施設でも、施設間で自由に居住費に差が生まれ、その設定金額は最大二倍以上になっているのです。

 

ユニット型特養ホーム

ショートステイ

ホテルコスト平均

2,396円

2,264円

(中 央 値)

2,100円

1,970円

(最 大 値)

4,500円

3,800円

(最 小 値)

1,970円

1,150円


 例えば、最高値のホテルコストを設定している4500円の場合、ホテルコスト、食費、介護保険の一割負担を足すと、毎月20万円以上の支払いが必要になります。
 基準額の1970円でも、食費等を加えると13万円程度になりますから、低所得者が入所できない、高額だと問題になっているのですが、毎月特養ホームに支払うものだけで20万円を超えるのですから、医療費やその他レクレーション費用などを加えると、支払える人は限られてしまいます。

 ホテルコスト  ・・・・ 4,500円 × 30日 = 135,000円
 食    費  ・・・・ 1,380円 × 30日 =  41,400円
 介護保険負担  ・・・282,300円 × 10% =  28,230円

                                   合 計  204,630円 (要介護5)

 どのような事情があるのかわかりませんが、このような福祉施設を作った社会福祉法人の理念を疑うというよりも、何故、市町村・都道府県、国がそのような高額な負担になるものを認めたのかが理解できません。
 本来、福祉施設は一般サービスや社会保険サービスでは対応できない社会的弱者に対する施設であり、全国で40万人を超える高齢者がその入所を待っています。
 この施設で考えられることは、建設坪単価が高い施設を作ったか、一人の入居者あたりの建築面積が広い建物を作ったのかどちらかですが、どちらにしても基準よりも豪華な施設であるということは間違いありません。実際、坪単価が100万円近くかかっているもの(最低は50万円未満)や、一人あたりの延べ床面積が65㎡(最低は40㎡未満)を超えているものもあります。
 このような現実を見ると、一部では高額の補助金を使って、富裕層を対象とした豪華な特別養護老人ホームが作られているのではないか、特別養護老人ホームは完全に福祉施設としての役割を見失ったのではないかと考えざるを得ません。


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