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ニュースを読む : 【ニュースを読む】~「神奈川県平成21年度高齢者虐待の状況①」を読む~
投稿日時: 10月04日 (2551 ヒット)

 【ニュースを読む】
~「神奈川県 平成21年度高齢者虐待の状況①」を読む~

 9月24日、神奈川県は、『高齢者虐待防止法』に基づき、平成21年度の高齢者虐待状況を取りまとめ、発表した。  家族などのからの虐待報告件数は、平成20年の583件に対して、平成21年は577件と6件減少しているものの、経済的虐待が88件から162件へと2倍以上増えているのが特徴だ。

資料 平成21年度における県内の高齢者虐待の状況について
※ リンク先のニュースは、時間の経過等によって削除されることがあります。


【解説・論点】
 高齢者虐待は、暴行を加えるなどの『身体的虐待』や介護を放棄する『ネグレクト』が知られていますが、その他、暴言を吐くなどの『心理的虐待』、わいせつな行為をする『心理的虐待』、そして高齢者の財産を不当に処分するなどの『経済的虐待』に分かれます。
 身体的虐待が384件と最も多いのですが、ネグレクトが158件だったのに対し、今回の調査では、経済的虐待は前年比二倍の162件と急増していることがわかります。

 

平成21年度

平成20年度

身体的虐待

384件

413件

心理的虐待

244件

202件

経済的虐待

162件

88件

ネグレクト

158件

162件

性的虐待

1件

1件


 身体虐待や育児放棄による小さな子供の死亡事故が続き、児童虐待が大きな問題になっていますが、それと同様にこの高齢者虐待も氷山の一角であることは間違いありません。
 特に、この中で発見・判断が難しいのが『経済的虐待』です。経済的虐待の定義は、『高齢者の財産を不当に処分すること、その他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること』とされていますが、何をもって不当とするのかの基準が非常に難しいからです。
 更に、高齢者虐待は、息子、夫、娘、孫、妻などの一親等、二親等という最も近い血族による虐待が全体の95%を超えます。どのようなケースで、誰が通告したのかがわかりませんが、恐らく『経済的虐待だ』と指摘された家族には、その意識はなく『子供が親の金を使って何が悪い』と思っている人が大半でしょう。

 まったくの第三者が、詐欺的行為によって、その高齢者の資産を不正に取得するというのは、その犯罪行為がわかりやすく、まだ不十分ですが後見人制度などが整備されつつあります。しかし、認知機能が低下してくると本人の意思がどこにあるのか不明瞭になりますし、どこからが不正になるのかを完全に線引きすることはできません。
 他の兄弟から見て『認知症の親と同居している長男が親の資産を勝手に使っている、どうすれば良いか』という相談を受けたことがありますが、長男からすれば『私が親の介護を全てしているのだから、ある程度は当たり前だろう』と言うでしょう。子供が一人の場合は、親の資産を食い潰しているからといって、それを他の親族や第三者が止めるということは簡単ではありません。
 
 経済的虐待の問題は、家族関係の変化だけでなく、景気の悪化にも大きく左右されます。現在、長期の景気が悪化していることから親の年金を頼りに生活している家族は少なくありません。ケアマネジャー等と話をすると、年金が十分にあって介護用のベッドや福祉用具を勧めても、お金がかかることは嫌だと断られるケースもあると言います。ただ、本人の意思が確認できない場合でも、このように『一緒に生活していて、親の年金を生活費に当てている』というのは、経済虐待ではありません。『親に必要な介護サービスや医療を全く受けさせず、子供は親の年金でギャンブルをしている』といったネグレクトとセットとなるケースでなければ、『経済的虐待』単独での指摘や保護は難しいだろうと思います。
 
 マスコミで大きく取り上げられたように、高齢者が亡くなっても死亡届も出さず、年金を搾取し続ける家族が十年以上放置されていると言う現状をみると、その高齢者の立場に立って、本人の資産を管理するということは、本当に難しい問題なのです。




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