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ニュースを読む : 【ニュースを読む】~『夜間対応型訪問介護』会計監査院からの指摘①~
投稿日時: 11月09日 (3358 ヒット)

 【ニュースを読む】
~『夜間対応型訪問介護』 会計監査院からの指摘①~

  会計監査院は、10月22日、厚生労働大臣に対して、『夜間対応型訪問介護は利用率が低迷し ており、地域介護・福祉空間整備推進交付金等による事業効果が十分に発揮できていない』と指摘し、是正を求める意見書を提出した

資料 会計監査院法 第36条の規定による意見表示 
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【解説・論点】
  夜間対応型訪問介護は、2006年度に創設されたものであり、事前のケアプランに基づくものだけでなく、 高齢者に小型の通信端末を配布し、連絡を受け、サービスを提供する仕組みになっています。   一般の事前のケアプランに基づく計画的な訪問介護とは違い、介護施設・病院にあるようなケアコール ・ナースコールを利用者の自宅に配置し、夜間に急にトイレに行きたくなったり、気分が悪くなった時にホ ームヘルパーに連絡できる、呼べるというサービスです。  この整備には、端末や通信機器などのハードの整備が必要なため、補助金が支出されています。

 夜間対応型訪問介護に対する補助金
     ① 通信機器・システムの導入経費等 (基準額3000万円)
     ② 夜間介護の広報経費 (基準額300万円)
     ③ 夜間対応型訪問介護ステーションの工事費(基準額500万円)

 夜間対応型訪問介護のコンセプトを聞くと、『それは便利だ』『要介護高齢者には安心で必要なサービスだ』 と多くの人が考えるはずです。
  しかし、今回2006年度~2008年度の間に交付金を受けた101事業者の内、利用状況が確認できた96事業所
を調査したところ、あまり利用されていないという実態が浮かび上がったのです。
  ケアコール端末の購入台数の内、実際に利用されているのは29.2%と三割未満であり、補助金を受けたに も関わらず、事業の継続が困難であるとして事業を休止している事業者が6件、廃止している事業者は7件 に上るとしています。16億円もの補助金を投入しながら、事業効果が全く得られていないと指摘されている のです。

 『需要の読み間違え』と言えば単純ですが、そこには二つの課題があると考えています。
 一つは、実際の利用者から見ると、この夜間対応型訪問介護は使いにくいということです。
  このサービスを利用したいと考える対象者をイメージすると、身の回りのことが自分では難しい、排泄が 自分ではできない中度~重度要介護高齢者が浮かびます。また、夜間の急激な変化に対応できない独居高齢 者、対応に亜不安がある高齢夫婦世帯(老老介護)が中心となるでしょう。彼らは、介護保険の利用割合が 高い世帯で、通常のケアプランの中でも、限度額一杯まで利用している人は少なくありません。
  しかし、この夜間対応型訪問介護を介護保険制度の中で使う場合、ケアマネジャー・利用者は、緊急・臨 時ケアのために区分支給限度額の一定枠を空けてケアプランを策定しなければなりません。特に、夜間、早 朝、深夜の緊急対応は、通常の1.25~1.5倍の介護報酬が必要になり、限度額を超えると一回5000円以上が必 要になります。
  実際の運用を考えると、イメージされる対象者の多くは、デイサービスやショートステイ、日中の訪問介 護、訪問看護など、通常のケアプランの中で、サービスを充実させないと生活を維持することは難しいた め、『使うかもしれない』夜間対応型訪問介護に限度額を残しておく余力がありません。また『今月は、 限度額の中で一回だけ使えます』と言われても、いつ使ってよいのかわからないでしょうし使えないでし ょう。いつでも使えるという人は、お金の心配がない、一定の富裕層に限られるということになります。

夜間対応型訪問介護サービス介護報酬
   基本夜間対応型訪問介護費(1ヶ月単位) ・・・  1000単位
   定期巡回サービス費 (一回につき)  ・・・  381単位
   随時訪問サービス費 (一回につき)   ・・・  580単位

  私の知っている社会福祉法人でも、この事業を行っていますが、この利用者は、毎月1000単位限度額が少 なくなる』ことから、本当に必要な人ではなく、限度額に余裕のある人に『いざという安心のために』と負 担してもらいっているのが現状ではないかと述べています。
  話だけを聞くと『それは安心・便利だ』と思いますが、実際の介護保険の利用という側面から見ると、対 象者はかなり限定されることがわかります。それは制度を設計するときに想定した、本当に必要な人は使え ないということでもあります。


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