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ニュースを読む : 【ニュースを読む】~『夜間対応型訪問介護』会計監査院からの指摘②~
投稿日時: 11月16日 (4030 ヒット)

 【ニュースを読む】
~ 『夜間対応型訪問介護』 会計監査院からの指摘 ②~

会計監査院は、10月22日、厚生労働大臣に対して、『夜間対応型訪問介護は利用率が低迷しており、地域介護・福祉空間整備推進交付金等による事業効果が十分に発揮できていない』と指摘し、是正を求める意見書を提出した

資料 会計監査院法 第36条の規定による意見表示 pdf
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【解説・論点】
 もう一つの方向性は、詳細な実務検討です。
 その意味は二つあります。

 もう一つの問題は、事業者の経営上の課題です。
 事前の予約に基づく通常の訪問介護と比べると、夜間対応型訪問介護の随時対応は『あるかないかわからない』ことに人を手当して準備しなければならないのですから、経営の側面からみると効率的ではありません。特に緊急性の高い場合にコールされるという特性を考えると、利用者が数名でも対応するホームヘルパーを待機させなければなりませんし、『忙しいので今は無理』という対応ができるわけではなく、想定される以上の準備が必要になります。当然、新規事業ですから、前回述べたような需要見込みが狂うということも想定しておかなければなりません。
夜間対応型訪問介護の難しさ
 【経営リスクの側面】
    ◆ 利用者が数名でもホームヘルパーを待機させなければならない。
    ◆ 随時対応コールの頻度がわからない、日によってコールの頻度は違うため、
       十分な予測・対応準備が必要となる。
    ◆ 夜間対応型訪問介護に対応するホームヘルパーの確保が難しい。
    ◆ 夜間に駆けつけることのできるエリア(距離)は限られている。
 【業務上のリスクの側面】
    ◆ 夜間に急行することから、交通事故などの危険性が高くなる。
    ◆ ホームヘルパーは女性が多く、夜間随時対応は危険に会う可能性がある。
    ◆ 随時対応は詳細がわからないことも多く、臨機応変の対応が求められる。

 また、夜間に急行するということから交通事故などの危険性が高くなるということ、地域によってはホームヘルパーの女性が一人で訪問することに危険が伴うことなど、業務上のリスクも小さくありません。
 事業の性格上、一定数以上の利用者の確保は不可欠であり、かつ実績・データを積み重ねることで、一定の予測ができるようになってから、やっと軌道に乗せることができるというタイプの事業だと言えるでしょう。最初の数年間は赤字になることは間違いなく、新規参入事業者はその覚悟が必要です。一定の訪問介護サービスの規模、安定した資金力・経営力、抱負な経験を持つ事業者が、長期的な視点で参入するタイプの事業だと言えます。
 しかし、現状は全く違うようです。
 たった二年程度で『補助金もらったけど、儲からないのでやめます』という事業者が13件に上るということ、また市町村や都道府県が、これらの問題に何も対応していないということに驚きます。  行政の介護サービス事業の推進方法に根本的な間違いがあります。
 どのような介護サービスが必要となるのかという需要予測は、全国一律ではなく、地域性によって大きく変わります。東京都心部と地方の市町村とでは、エリアの高齢化率・要介護高齢者数が同じでも、求められるサービスは違ってきますから、全国一律の推進計画など全く意味がありません。
 普通に考えれば、新規事業なのですから、『どの程度の需要があるのか』を各地域で一つのモデル作り、その事業者で対応できないほどの利用者が増加すれば、いくつかに拡大すれば良いはずです。介護・福祉の向上という錦の御旗を掲げ、机上の空論で『とりあえず補助金を使う』『とりあえず整備する』ということだけが目標となり、リスクを検討しないまま計画が進められ、税金が無駄に使われてしまっているのです。

 同種の問題は、『夜間対応型訪問介護』だけではありません。
 ケアハウスは高額の補助金・運営費を投入する福祉施設として必要なものではありませんし、現在、国交省が補助金を支出して推進しているケア付高専賃も、同様に数年で破綻するところも少なくないでしょう。
 それが、現在の『コンクリートから人へ』の正体なのかもしれません。 


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