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高齢者介護は家族の大問題

◆ 突然ふりかかる介護問題
◆ 心構えは必要だが、万全の準備は難しい
◆ 意地と勢いでスタートすると大変なことに
 両親・家族の介護問題はある日突然やってきます。
 これまで実家で、一人で元気に生活していた母が脳梗塞で突然入院との電話。生命の危険はないと “ホッ” としたのもつかの間、病院からは早期の退院を求められます。体に麻痺が残ると、これまで通り一人生活できなくなりますが、子供もそれぞれに事情があり同居することができない、話をしても意見がまとまらない、特養ホームも一杯で入所できないと聞かされ、八方ふさがりで目の前が真っ暗になります。

 テレビドラマなどでもよくあるケースですが、それは脳梗塞や骨折だけではありません。
 今後、急増すると考えられるのが独居・認知症の高齢者です。認知症は、配偶者や親しい友人の死など、生活環境の変化や大きなショックが原因になることは知られていますが、その発症のメカニズムはわかっていません。実家で自由気ままに楽しく生活していると思っていたのに、ある日突然、警察から保護をしたとの電話。慌てて向かうと、きれい好きだったはずなのに、自宅内は汚れ放題で、認知症の徘徊が始まっていたというケースも良く聞きます。

 ひとり暮らしをしている親が要介護状態になれば、どうするのか・・心構えは必要です。
 しかし、介護問題への対応が難しい最大の理由は、多くの人が直面する課題でありながら、積極的に予防策がとりにくいということです。
 要介護状態や認知症には誰もなりたくありません。元気な高齢者への介護講演会で、 『「私はいつか死ぬ」 とわかっている人は手を挙げてください』 と問うと、笑いとともに全員の手があがりますが、『では「要介護状態、認知症になる」と思っている人は?』 と聞くと、ほとんど手があがりません。 
 実際は突然死でない限り、期間や状態の差はあれ大半の高齢者は介護が必要な状態になるのですが、介護が社会問題となっていても、私だけは大丈夫と思っているのです。ですから、元気な時に要介護や認知症になったら・・という話をされるのは好みませんし、子供や家族も、『まだ大丈夫だろう』『そのうち考えなければなぁ・・』という程度で、積極的になれません。
 また、要介護状態と言っても、加齢によって少しずつ身体機能が低下するケースだけでなく、骨折や脳梗塞、脳出血など疾病による急激な身体状況の変化、配偶者の死による生活環境の変化など、予想できないものが大半です。また、身体的な機能低下なのか、認知症なのか、その程度はどうか、その時の年齢によっても対応・対策は変わってきます。元気なときから、そのすべてのケースを想定して、万全の準備をすることは、難しいのです。

 両親・家族の介護問題に直面し、『どうすればよいかわからない』と慌ててバタバタしてしまう・・というのが多くの家族に共通する状況です。すべての家族が金銭的にも、精神的にも、時間的にも十分な余裕を持って生活しているわけではありません。それぞれ、孫の進学や家の広さなど家族の事情を抱え、嫁ぎ先の親との関係などもでてきますから・・・意見が一致することはありません。最悪の場合、親の介護問題をきっかけに、兄弟・夫婦の関係がギクシャクし、絶縁や離婚に発展します。半ば意地と勢いで親を引き取って介護を始めたものの長続きせず、苛立ちから介護虐待につながるという悲惨なケースもあります。その多くは、仲良く生活を送っていた普通の家族です。
 要介護、認知症については社会的な理解が進んできていますが、それでも“イザ当事者”となると、本人だけでなく取り巻く家族の生活も一変します。超高齢社会における介護問題は社会問題である前に、それぞれの家族の大問題なのです。

 この老親の介護問題の対応が難しいのは、介護だけでなく、どこで暮らすのかという『住宅問題』と密接に関わるからです。『介護が必要になったら同居する』 というのも一つの方法ですが、これまで一緒に生活していなかったのに、介護が必要になったから同居するというのは、心理的にも身体的にもそう簡単なことではありません。
 また、『介護のために仕事を辞めた』『都会から故郷に戻る』というケースも増えています。退職とのタイミングが良く、『故郷に帰るつもりだった』と、家族全員がそう望んでいるのであれば一つの方法です。しかし、故郷に戻っても再就職などで苦労する人も多く、最近では失業保険と親の年金で暮らし、介護が必要だった親が亡くなれば、生活保護に頼らざるを得ないという人も増えています。

 また、高齢者介護の怖さは、先が見えないということです。
 半年だけ、一年だけ・・と計画が立てられるのであれば、予定を立てたり、それぞれに協力し合うことができますが、実際は、この先、何年続くかわかりません。また、子供はできることが増えていきますし、手がかかる期間も決まっていますが、要介護高齢者はできないことが増えていきますし、どれだけの期間がかかるかわかりません。
 高齢者の介護生活は、『気持ち』と『身体的労力』と『金銭的負担』 のバランスです。どれか一つ切れてしまっても継続できません。親を引き取って介護をしたけれど、夫婦の間でのケンカが増え、笑顔もなく嫌々介護をしている、同居しているものの会話もなく孤立している、『親が亡くなってほっとした』というのは、あまりにも悲しいことです。
 核家族化が進展し、夫婦共働き世帯、兄弟が少ない中で、一人の家族に最大4人の介護がかかってきます。『住み慣れた自宅で最期まで暮らしたい』というのは理想ですが、社会のシステム、生活環境を見ると、それはそう簡単ではありません。
 この両親の介護・住宅問題に対して、どのように対応するのかは、本人や家族の考え方や希望、それぞれの生活環境によって違ってきますが、その場の思いや勢いだけで決めてはいけないのです。

高齢者住宅という一つの選択肢

◆ 家族の役割は重要
◆ 高齢者住宅選びの難しさ
◆ 高齢者住宅選びに役立つ当サイトの4つの特徴
 高齢者介護の問題を解決するために、私たちが提案する一つの方法が『高齢者住宅』 という選択です。
 これまで民間の高齢者住宅と言えば、入居一時金が数千万円から高いものでは数億円と『お金持ちの有料老人ホーム』というイメージが強かったのですが、最近は、入居一時金がゼロのもの、月額費用も20万円以下というところが増えており、そのサービス内容も多岐に渡っています。
 老人ホームに対する意識も大きく変わっています。『介護は家族の仕事』『老人ホームに入るのはかわいそうな人』と考えられていた時代もありましたが、『介護が必要になったら高齢者住宅に入りたい』『家族に気を使わずに自由気ままに暮らしたい』という高齢者は増えています。
 高齢者住宅を選んだ家族と話をすると、入居前は本人よりも家族の方が不安だった、申し訳ないという気持ちがった・・という声は少なくありませんが、日常の介護や生活支援はプロに任せることで、家族にも気持ちに余裕ができ、老親とこれまで以上に良い関係ができたと話す人も少なくありません。休日になると、兄弟・家族でドライブや食事をしたり、一緒に買い物に行くという人もいます。
 高齢者の介護生活は、『気持ち』と『身体的労力』と『金銭的負担』 のバランスです。金銭的に可能であれば、身体的労力をプロに任せることで、家族にしかできない気持ち・心のつながりを強くすることができます。
 自宅で生活できないから、家族が介護できないから、家族に負担をかけたくないからといった消極的な意見ではなく、最後まで自分らしく暮らすために、家族と良い関係でいるために高齢者住宅に入居するスタイルに少しずつ変化してきているのです。

 しかし、ここで多くの家族が直面するのが、高齢者住宅選びの難しさです。
 いざ探し始めようとすると、『介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅、サービス付き高齢者向け住宅など様々な種類があり、高専賃、サ高住などと略されているため、『その違いがよくわからない』『どのような視点で選べばよいかわからない』 という声は少なくありません。
 また、制度や法律が追い付いておらず、行政の監視・指導が十分に行き届いていないことや、『高齢者住宅は儲かる』と新規参入で事業ノウハウに乏しい事業者も多いことから、契約やサービス内容を巡ってもトラブルも急増しています。特養ホームや介護付有料老人ホーム内でスタッフが入居者を虐待していたという、信じられないような事件も起こっています。
 高齢者住宅への入居を希望しているが、高齢者住宅選びに不安があるというのが、大半の家族に共通する意見です。

 実際、私たちプロの目からみても、業界は玉石混淆です。
 高齢者住宅は、特養ホームなどの老人福祉施設と違い、介護付有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅と言ってもそのサービス内容、価格設定方法はそれぞれに全く違います。また、新しい事業で『価格の相場』というものがありませんから、高額だから質の高いサービス、手厚いサービスが受けられるというわけではありません。
 入居者それぞれの生活に合致した質の高いサービスを提供しようと、工夫を重ね、日々努力しているところもあれば、バリアフリーの建物に訪問介護が併設されているだけで、誰が経営しているのかわからない、スタッフも見るからにやる気がないというところもあります。
 高齢者住宅は、超高齢社会において必要不可欠な事業ですが、理想の『終の棲家』を選ぶための情報は、まだ、高齢者・家族に十分に行き渡っていないのが現状です。 

 更に、問題は、高齢者住宅の数は右肩上がりで増加している一方で、有料老人ホーム、サ高住など制度の混乱から、行政など第三者からの指導や監査などの対策が全く整っていないということです。高齢者住宅は、一旦入居すると、スタッフや入居者が限定され閉鎖的な環境になりやすいこと、また、気に入らないからと何度も転居できるわけではなく、お客であるはずの入居者・家族が弱い立場に立たされやすいという特性があります。
 転倒などの介護事故の隠蔽問題だけでなく、行われていない介護報酬が請求されていたり、入居者の財産を勝手に使ったり、暴言や暴力などの介護虐待も報告されています。ごく一部の劣悪な事業者の問題ではありますが、表面化していることは氷山の一角であることも事実です。
 入居者・家族は、入居後に『こんなはずではなかった・・』ということのないよう、しっかりと勉強して、『選択眼』を養わなければならないのです。

 当サイトは、現状を踏まえて、高齢者住宅の開設・経営コンサルティングを行っている高住経ネットが、プロの視点から、『高齢者住宅という商品をどのように見るのか』 という視点で策定したものです。初めて有料老人ホーム・サ高住を探している高齢者・ご家族に対して、以下の3点に力を入れて、コラムを執筆しています。

① 介護の必要な高齢者・家族を対象

 高齢者住宅はサービス内容によっても違いますが、介護が必要な両親のために子供や家族が中心になって探すというケースが増えています。そのため当サイトのコラムは、主に介護が必要な高齢者を抱える家族を対象として書かれています。要介護高齢者を対象とした高齢者住宅を選ぶポイントや、「介護付・住宅型・サ高住」の制度上の違い、それらの介護システムの長所・短所などについて詳細に解説しています。

② 高齢者住宅選びの実務と流れを重視

 介護が必要な高齢者を対象とした高齢者住宅選びの場合、「ゆっくり探す時間がない」「何から始めれば良いかわからない」という意見が多いのが特徴です。だからと言って、準備をしないで見学しても、事業者の美辞麗句を一方的に聞くだけとなり、「感じが良い」「雰囲気が明るい」等の主観的なイメージだけで選ぶことになってしまいます。
 高齢者住宅は様々なタイプ・サービスが豊富に供給されており、老親や家族のニーズに最も合った『終の棲家』を選ぶという視点が必要です。慌てる必要はなく、ショートステイや老健施設などを利用すれば、探すための十分な時間を確保することができます。本書では、事前準備のポイントから見学・契約まで、有料老人ホーム選びの実務の流れに沿って、注意するポイントや確認すべき事項について解説しています。

③ トラブル・リスクを重点的に説明

 高齢者住宅選びは、大半の家族が初めての経験です。
 その一方で、入居一時金制度や終身利用権など、他の商品にはない独自のシステム・権利が設定されており、それぞれに契約内容が違うために、説明を受けても一度で理解することはできません。また、それぞれの高齢者住宅の名称とサービス内容が一致しないことも高齢者住宅選びを困難にさせる原因となっています。
 当サイトでは、高齢者住宅を選ぶ上での基礎知識を、初めて選ぶ人にもわかりやすく説明するとともに、入居後のトラブル・リスク事例から、どのような点に注意して高齢者住宅を見るのか、説明を聞くのかについて解説しています。

④ 入居者・家族の立場で説明

 当サイトは、高齢者住宅の開設・経営・再生などのコンサルティングを行っている『高住経ネット』が運営しています。経営・サービスの両面から高齢者住宅事業に精通していることは言うまでもありませんが、本コラムは純粋な情報サイトであり、高齢者住宅事業者からの支援や利益によって成り立っているサイトではありません。
 劣悪な事業者を排除し、産業の健全育成のためには、利用者の選択眼を高めていただくことが必要だと考えており、第三者・中立というよりも、事業者サイドにとって、より厳しい視点でコラムを策定しています。

 高齢者住宅は、「豊かで快適な老後を過ごす場所」であると同時に、人生最後の大きな買い物です。しかし、公的な福祉施設ではありませんので、選んだ責任は、入居者・家族にかかってきます。劣悪なサービスや経営悪化で事業閉鎖となれば、老後の生活が根幹から崩壊し、それは家族の生活まで影響することになります。ですから、執筆にあたっては、「できるだけ簡単に」ではなく、「できるだけ詳細に・わかりやすく」「メリットではなくリスク回避」を主眼に置いています。
 家族のために高齢者住宅を探しておられる方、そして、これから入居されるご本人の快適な生活のために、当サイトがお役に立てることを心から願っています。




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