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コラム3 こんな老人ホーム・高齢者住宅を作ってはいけない
2025年までに急増する後期高齢者
 内閣府から6月7日に公表された平成23年(2011年)版高齢社会白書によれば、2010年10月1日現在で、65歳以上の人口は2958万人、高齢化率は23.1%と、どちらも過去最高を更新しています。高齢者を取り巻く、さまざまな生活課題が報道されるようになっていますが、私たちがいま立っているのは、これから日本が直面する超高齢社会の入り口にすぎません。
 これからの日本社会が直面する最も大きな壁は、戦後のベビーブーム期に生まれ、日本の高度経済成長を支えてきた『団塊の世代』(1947~49年に生まれた人々)の後期高齢化です。
 超高齢社会を理解するポイントの一つは時間です。
高齢者の一般的な定義は65歳以上ですが、これからの高齢者対策を考えるにあたって特に重要になるのは、要介護発生率が高くなる75歳以上の後期高齢者です。
 『国立社会保障・人口問題研究所』が公表している将来人口推計によると、2005年の後期高齢者人口は1164万人だったのに対し、2010年には1422万人、2015年(1645万人)、2020年(1874万人)、そして2025年には2167万人に達します。しかし、その後は2035年に2235万人、2045年には2247万人とあまり変動しません。5年毎に200万~300万人の団塊世代の後期高齢者が増えていく、2025年までの急激な上り坂への対策が必要であることがわかります。
 この後期高齢者の増加に比例し、独居高齢者、高齢者夫婦世帯が急速に増えていきます。
 戦前の日本では、高齢者は長年住みなれた自宅で子ども、孫と一緒に生活し、高齢者の介護は、子育て同様に家族内で行われてきました。しかし、団塊世代は仕事を求めて故郷を離れ都市部に流入、そこで結婚し家を建てて、小さな核家族を形成してきた世代です。同様に、その子供も就職や結婚で家を離れるため、子育てが終わると夫婦のみの世帯となり、配偶者が亡くなると独居高齢者世帯になります。
 2005年と比較すると2025年には高齢者夫婦のみの世帯は170万世帯から340万世帯へ、高齢者独居世帯は197万世帯から400万世帯へと、現在の二倍になると予想されています。75歳以上の高齢者がいる世帯の内、2/3以上が高齢者独居、または高齢者夫婦のみの世帯となるのです。


もう一つ重要なポイントは、地域差です。
 団塊世代は、高度経済成長期の中、集団就職等で仕事を求めて故郷を離れ、都市部へ流入した世代です。
 都道府県別高齢者人口将来推計で、2025年の後期高齢者数、上位5つの都道府県を見ると、東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県、愛知県という大都市部で急増するこということがわかっています。2005年から2025年までの増加率を比較すると、埼玉県は44万人から120万人へと270%増、神奈川県は60万人から147万人と244%増、同様に千葉県は250%、大阪府230%、愛知県222%、と軒並み200%を超える増加率となります。
 これに対して、鳥取、島根などの地方では、後期高齢者数は数的にも割合的にもそれほど増える訳ではありません。島根県は7.5万人から10.4万人で138%、山形県、鹿児島県、秋田県、鳥取県なども130%台です。この大都市及びその周辺部への集中は、独居高齢者世帯、高齢者夫婦世帯の増加についても同じことが言えます。かつてニュータウンと呼ばれた都市近郊の新興住宅地、ベッドタウンとして発達した都市が、これから急速に高齢期を迎えることになります。団塊世代が故郷から都市に流入したという時代背景を考え合わせると、地方の高齢化は中盤に差し掛かっているのに対し、都市部の高齢化はまだスタートしたばかりなのです。
 これからの高齢者対策は、この時間・スピードと、空間・エリアの軸を明確にして検討する必要があります。高齢者対策は、少しずつ整備すれば良い、全国的に平均的に整備すれば良いというものではありません。すでに急激な上り坂に入っており、時間はほとんど残されていないことを認識し、各地域の実情に合わせて早急に対策を進める必要があるのです。