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<はじめに>

 第一章で述べたように、高齢者住宅は、他に類例のない非常に特殊な事業です。
 また、高齢者住宅事業は、勝ち組・負け組といった瞬間的なものではなく、30年40年と長期安定的にサービスを提供し、長期安定的に収益を生み出し続けなければなりません。高齢者住宅の需要が高まることは間違いありませんが、バリアフリーの建物に介護サービスを併設するだけでは、とても安定的な経営はできません。これからも、次々と新しい魅力的な高齢者住宅は次々と開設されていきますし、矛盾や無駄の多い制度や介護報酬も、逼迫する財政事情も相まって、厳しい方向に改定されていくことは間違いありません。
 更に、入居者・家族の権利意識は高まっており、転倒骨折・誤嚥などで裁判となるケースは増えています。火災やインフルエンザの死亡事故、高齢者虐待などが発生するとマスコミにも大きく取り上げられています。高齢者住宅の社会的認知度、社会的役割が大きくなるのに比例して、厳しい視線が向けられていることを理解しなければなりません。
 社会環境、経営環境が30年40年と安定的な経営を続けるには、長期安定経営が可能な『強い商品性』と、長期安定経営・安定サービスを続けるための『経営ノウハウ』が不可欠です。高齢者住宅経営の見直しの目的は、この『強い商品性』を作り直すこと、『経営ノウハウ』を構築することの2点に集約されるのです。
 ここで重要になるのが『強い商品性』『経営ノウハウ』とは何か・・です。
 私たちは、その基礎にリスクマネジメントを置いています。
 高齢者住宅は、需要が急増する将来性の高い事業であることは間違いありません。事業を成功させるためには、高齢者住宅の特殊性を理解し、その安定経営を阻害するリスクに強い商品設計、リスクを回避する経営ノウハウの構築が不可欠なのです。言い換えれば、高齢者住宅経営とは、リスクマネジメントそのものなのです。
 ここでは、高齢者住宅の安定経営を阻害するリスクについて、経営リスクと業務リスクの二つの視点から整理します。

  016 リスクマネジメントとは何か?
  017 リスクマネジメントとその手法
  018 経営リスクと業務リスク
  019 経営上のリスク Ⅰ ~入居者募集の失敗~
  020 経営上のリスク Ⅱ ~収入低下~
  021 経営上のリスク Ⅲ ~介護看護スタッフ不足~
  022 経営上のリスク Ⅳ ~人件費の高騰~
  023 経営上のリスク Ⅴ ~長期入居リスク ①~
  024 経営上のリスク Ⅵ ~長期入居リスク ②~
  025 経営上のリスク Ⅶ ~支出の増大~
  026 経営上のリスク Ⅷ ~制度変更リスク~
  027 経営上のリスク Ⅸ ~事業者間契約リスク~
  028 経営上のリスク Ⅹ ~コンプライアンス違反~
  029 業務リスクマネジメントの重要性
  030 業務上のリスク Ⅰ ~介護事故 ①~
  031 業務上のリスク Ⅱ ~介護事故 ②~
  032 業務上のリスク Ⅲ ~苦情・トラブル~
  033 業務上のリスク Ⅳ ~重度化対応リスク ①~
  034 業務上のリスク Ⅴ ~重度化対応リスク ②~
  035 業務上のリスク Ⅵ ~医療ニーズ対応リスク~
  036 業務上のリスク Ⅶ ~災害リスク~
  037 業務上のリスク Ⅷ ~労務災害~
  038 業務上のリスク Ⅸ ~感染症・食中毒~
  039 業務上のリスク ~介護虐待~
  040 リスク顕在化の原因はどこにあるのか
  041 高齢者住宅 短期リスク・長期リスク
  042 高齢者住宅 リスクの相互関係・関連性を知る
  043 業種種別によるリスクの整理