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高齢者 住宅優良事業者の条件


 高齢者の絶対的増加だけでなく、独居高齢世帯の増加、福祉施設整備の限界などの複合的な要因により、高齢者住宅の需要が高まることは間違いない。また、高齢者・要介護高齢者が一つの建物内において生活することにより、効率的、効果的なサービス提供が可能となり、それは高齢者の生活の安定、介護保険財政の効率的運用、職員の労働環境の改善などにもつながる。高齢者住宅は、超高齢社会に不可欠な社会インフラだと言って良い。

 しかし、残念ながら現在の高齢者の住まいの整備に関する施策は大きく遅れており、特養ホームとの役割の混乱、介護保険適用の矛盾、サ高住と有老ホームの並立など、様々な課題が山積している。

 また、これらの矛盾や混乱の中で、民間企業に求められている『強い商品性とは何か』という健全な競争ではなく、制度の矛盾やグレーゾーンを突き、介護保険や医療保険で利益を上げるといった近視眼的なビジネスモデルが横行している。しかし、絶対的な財政不足の中で現在の制度矛盾が続くはずがなく、このような制度依存の不安定なモデルは、制度や報酬が正常化に向かえば運営できなくなる可能性が高い。

 高齢者住宅は、ビジネスとしても社会的責任から見ても、長期安定経営が不可欠である。そのためには、近視眼的な利益確保ではなく、高齢者住宅の事業特性や特殊なリスクなど、『高齢者住宅とは何か』 『高齢者住宅の市場価値とは何か』を理解し、企業努力によって競争力の高い、長期安定経営が可能な強い商品性、ビジネスモデルを構築していかなければならない。同時にそれは、入居者、家族だけでなく、スタッフにとっても魅力的な職場環境でなければならない。

 本連載では、建物設備設計、生活支援サービス設計、サービス管理実務の重要項目から、高齢者住宅事業の強い商品性、長期安定的なビジネスモデルを探ると共に、実務に基づいて商品設計・事業経営における視点・ポイントを示す。