介護事故の民事裁判・損害賠償請求において、一つの判断のポイントとなるのが「予見可能性」、
つまり、その事故は、予測することが可能だったのか、予測することはできなかったのか…です。
予測可能な事故に対しては、介護サービス事業者はその事故を予防するための対策が必要です。
この予見可能性は、大きく分けるの二つ。
一般的な高齢者・要介護高齢者の特性からみた、事故の予見可能性。
もう一つは、Aさん、Bさんという高齢者個別の要介護状態から見た予見可能性です。
介護裁判の裁判となるものは、ほぼすべて後者の「高齢者個別の予見可能性」です。
それは、同じように見える転倒・骨折事故においても、それぞれの高齢者の要介護状態で
「予見可能性」は変わってくるということです。
ここで、問題となるのが認知症高齢者です。
高齢者・要介護高齢者の介護事故の損害賠償が求められる民事裁判の最大の問題は、
この「認知症高齢者の予見可能性の判断」にあると言っても良いかもしれません。
ここでは、これまで出された3つの判例を基に、
「認知症高齢者の予見可能性」について、裁判所はどのように判断しているのか、
そこに課題、問題はないのかについて、考えていきます。
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