これからの後後期高齢社会の中で、財政的にも身体的にも、生活的にも
最も大きな負担を負うのは、高齢者ではなく、40代後半から50代の子供世代です。
親の介護のために、子供が仕事を辞める、辞めざるを得ないという介護離職が、
これから、一気に増加することが予測されています。
「介護離職はダメだ」という人は多いのですが、それぞれの家族で事情は違いますから、
第三者が、一律に「介護離職をしてはいけない」と断ずるものではありません。
ただ、お伝えしたいことは、介護離職は個人としても社会としてもリスクが高いということです。
「親のために・・・」と介護離職をしても、介護疲れで子供が先に亡くなったり、
精神的な疲労の蓄積やストレスで、介護虐待やネグレクト、追い詰められて介護心中・・・
という悲惨なケースも、介護離職者のリスクは高くなると言われています。
「落ち着いたら、実家の近くで仕事を探す」と言っても、そう簡単ではありません。
40代後半、50代で仕事を辞めて、再就職できる確率は半数以下、
常勤で正規職員として働きだせる人は2割程度、それも介護・看護などの有資格者のみです。
親が亡くなった途端、年金もなくなり、資産も枯渇して、そのまま生活保護…という人も多いのです。
社会のリスクも小さくありません。
少子高齢化のリスクは、支える人と支えられる人のバランスが崩れるということです。
今後、後後期高齢者1000万人時代が続く一方で、生産年齢人口は2割減、3割減となります。
これに介護離職が加わると、単に分母の支える人が減るというだけでなく、
本来、支える側にいるはずの人が、支えられる側に移行するという最悪の選択なのです。
これからの日本は「地域包括ケア」の時代です。
今後、20年の間に市町村の半数が崩壊の危機に瀕すると言われていますが、
介護離職は、その先ぶれだと言っても良いかもしれません。
ここでは、介護離職が増加する背景と、個人・社会のリスクについて考えます。
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