介護事故 対策実務の基本の二つ目は、拡大予防対策です。
これは、リスクマネジメントの本質に関わる話です。
事業所によって差はあるものの、ケアマネジメントの導入によって、
科学的な介護、事故リスクの分析は進んでいます。
しかし、事故や感染症を一定、予防・削減できたとしても、
権利意識の変化、モンスターファミリーの登場によって、
苦情やクレーム、それによってスタッフが受けるストレスや負担など、リスクは、大きく広がっているのです。
事故の予防対策に力を尽くすことは当然ですが、それと並行し、
事故はゼロにはできないということを前提に、スタッフを守るため、事業を守るため、
感情的な苦情や、スタッフの疲弊、離職に拡大しないよう対策を講じる必要があるのです。
介護事故が、感情的なクレーム・苦情に拡大する原因は、大きく分けて二つ。
一つは、事業者と家族・入所者の信頼関係の醸成が不十分なこと。
もう一つは入所中の事故は誰の責任なのか…という認識が事業者と家族で食い違うからです。
この認識の差が不信感を生み、感情的になり、リスクを拡大させる要因となっているのです。
リスクの拡大予防の基本は、この事故の責任に対する認識の違いを埋めること、
そして、入所者・家族との信頼関係を醸成することです。
ここでは、介護保険施設や高齢者住宅を例に、事前説明の目的や
入所判定委員会の設置、ケアカンファレンスの見直し、解決対応など、
介護事故から派生するリスクの拡大、波及予防策について、考えます。
この記事へのコメントはありません。