介護離職者の増加は、社会システムの崩壊につながる巨大リスクです。
そのため政府は、介護離職ストップの切り札として、介護休業・介護休暇制度を推進しています。
しかし、育児休業の女性取得率(出産した女性がいる事業者)は84%であるのに対し、
介護休業の取得率(介護休業を取得した労働者がいる事業者)は、わずか2.2%です。
実際、介護現場で、介護相談を行っている生活相談員やケアマネジャー対象のセミナーでも、
「あなたは、労働者として介護休業や介護休暇を取得しますか?」
「あなたは、介護相談のプロとして、介護休業や介護休暇の取得を家族に勧めますか?」
と聞くと、ほとんどの人が首を横に振ります。
「親の介護期間は、5年、10年、15年続くこともある」
「3ケ月程度、介護のための休みを取っても、意味がない」
介護の相談現場でも、「使えない制度…」と思われているのです。
ここには、大きな誤解があります。
それは、介護休業は、そもそも「子供が親の介護をするための休業期間」ではないのです。
それが、育児休業と基本的に違うところです。
では、介護休業制度は何のための休業制度か・・・
それは、親が要介護状態になったときに、新しい介護生活環境を整えるための制度です。
言い換えれば、それは親のために子供が取得する休業制度ではなく、
子供家族が、自分の仕事や生活を安心して続けるために、取得する休業制度なのです。
ここでは、介護休業制度の目的と役割について、考えます。
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