介護リスクマネジメントが上手くいかない・・と悩んでいる人が多いのですが、
その理由は、「何を目的にリスクマネジメントを推進するのか」が分かっていないからです。
「介護事故ゼロを目指す」という事業所がありますが、そんなことはできるはずがありません。
高齢者介護は、人の役に立つ優しい仕事、笑顔や安心・快適というイメージを持つ人が多いのですが、
介護の現場にいると、そう単純なものではありません。
その対象は身体機能・認知機能の低下した要介護高齢者です。
視力や筋力の低下によって小さな段差でも転倒しますし、食事中の誤嚥や窒息事故も発生します。
また、今回のコロナ禍で見えてきたように、免疫力や抵抗力が低下しているため、
インフルエンザやコロナウイルスに感染すると、重篤化する可能性は高くなります。
更に、災害弱者である要介護高齢者が集まって生活しているのですから、
介護保険施設や高齢者住宅で、夜間に火災や地震が発生すると、多くの人が逃げ遅れて犠牲になります。
高齢者介護は、安心・快適とは正反対の、とてもリスクの高い仕事・事業なのです。
これらのイメージのギャップの矢面にたって苦しんでいるのが、現場の介護看護スタッフです。
介護リスクマネジメントの目的は、3つあります。
「入所者・利用者を守ること」「介護看護スタッフを守ること」「事業の安定を守ること」
介護業界のリスクマネジメントでもっとも重点を置くべきは、「介護看護スタッフを守ること」
言い換えれば、介護看護スタッフが安全に安心して働ける労働環境の整備です。
それが利用者・入所者を守ること、ひいては事業の安定を守ることにつながります。
各スタッフから見れば、自分の身を守ること・一緒に働く仲間を守ることです。
だから、この介護リスクマネジメントは「チームケアの根幹」であり、全員順守が鉄則なのです。
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