介護事故の話をするときに、最初にぶつかる壁が、「介護サービスの提供責任はどこまでか…」です。
「直接的な介助ミスがなければ、事故の責任はない」
「サ高住や住宅型は、介護事故は無関係」
という人がいますが、その多くは感情的なもので、そう単純なものでも、軽いものでもありません。
実は、法的責任という視点から見た場合、介護事故と交通事故(自動車事故)はよく似ています。
「交通違反を犯していなければ、交通事故の責任はない」
「相手が狭い道から飛び出してきたのが悪いのであって、私には責任はない」
と抗弁しても、相手方がケガをしたり、亡くなったりした場合、責任を問われることになります。
介護事故は、交通事故と同じように、法的に刑事・民事・行政の3つの責任がかかってきます。
「頑張ってやっているから、責任はない」などと安易に考えていると、
ある日突然、刑事から取り調べを受けて、刑事被告人になったり
数千万円という高額な損害賠償を請求されたり、
また、勉強して取得した介護福祉士や社会福祉士、ケアマネジャーの資格が取り消しになるのです。
介護のプロになるには、介護事故が発生すると、法的にどのような責任を問われるのか、
それはどのように判断されるのか、その基準はどこにあるのかを、理解しておく必要があります。
またそれは、介護リスクマネジメントの対策・実務と直接的に関わってくるものです。
まずここでは、介護事故の3つの法的責任と、その違いについて整理します。
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