TOPIX

「介護コンサルタントに騙された」という介護経営者の特徴


高住経ネットでは、介護経営に関する無料相談を行っています。
最近は、「高齢者住宅に参入したい」という依頼よりも、「高齢者住宅事業が上手くいかない」「人材不足・入居者不足で困っている」という相談が増えています。
「コロナ禍で受けられた補助金が終わるとどうなるかわからない」
「人材不足・入居者不足のダブルパンチで、借金ばかりが嵩んでいく」
どうしてそのような経営状態になってしまったのか、詳しく話をお聞きすると、その多くは事業参入・事業計画に策定にコンサルタントが関わっており、「経営コンサルタント、介護コンサルタントに騙された…」という話に行きつきます。介護コンサルが作った事業計画を見せてもらうこともありますが、足し算もあっていないようなものもあります。
「コンサルタントに騙された人がどうして、コンサルを頼るのか?」と、疑問に思いますが、実はそこに介護経営者の根本的な心得違いがあります。

「コンサルタントに騙された」と話す介護経営者の特徴は大きく分けて二つ
一つは、介護経営、高齢者住宅のことを全く知らないということ。
介護経営、高齢者住宅経営に失敗しているのは、「異業種からの参入」「遊休土地の有効活用(相続税対策)」「不動産投資目的」「事業が先細りしている医療法人の医師」などです。
いずれも、5年10年と現場で介護の経験をして、事業特性や経営上のリスクを十分に理解して、「自分の理想の介護をしたい」と参入しているのではなく、コンサルタントに「これからは介護の時代です」「高齢者住宅の需要は高まります」「儲かりまっせ」「win-win」「お任せください」などと甘い言葉でセールスされて、介護業界のことを全く知らないまま参入している人達です。

それは、金融商品のことも、その投資リスクも特性も何も勉強しないまま、「一か月で二倍になりました」「利回り20%は固い」などと言われて、ほいほい仮想通貨化や怪しい金融商品に手を出すのと変わりません。そんな高利回りであれば、見ず知らずの人に勧めることはないことは誰でもわかります。
ただ、投資詐欺の場合、退職金や貯蓄が溶けてなくなった…というだけあれば、被害者は自分だけですみますが、素人経営者の介護サービス事業、高齢者住宅事業への参入は、利用者や入居者、スタッフやその家族の生活までも巻き込むのです。厳しいようですが、「騙される奴が悪い」「わきが甘い」というよりも、自らが加害者となって被害を拡大、拡散させているのです。

もう一つの特徴は、経営者としての自覚が決定的に足りないということです。
初めて事業に参入するから、介護のことはわかっているけれど、経営に一部不安があるからコンサルタントの意見を聞きたい、新しい視点を導入したいというのがコンサルの活用方法です。あくまでも、「経営の責任者」は経営者であり、コンサルタントはアドバイザーでしかありません。「信頼してコンサルタントに任せていたのに…」というのは、コンサルタントを見る目がなかったということよりも、コンサルタント任せにして、適切な経営をしてこなかった経営者の責任です。

昔は、高住経ネットにもこのタイプの「素人経営者」がたくさんやってきました。
「高住経ネットさんに、お任せしておけば大丈夫だと言われた」
「コラムなどを読んで、詳しい高住経ネットさんにお任せしておけば安心だ」
多分に、「おべっか・お世辞」も含まれていると思いますが、そういわれても嬉しくはありません。そんな人には「失敗した時の責任は全てあなたが取ること、かつ成功したときは利益の9割をいただけるのであれば、考えても良いですよ…」と冗談めかせてお断りをします。
ムッとする方もおられますが、これはジョークではありません。「自分で介護サービス・高齢者住宅を経営する」というのではなく、「他人の事業に投資をする」というのであれば、この低金利の時代、利益の10%の配当があれば上々でしょう。介護経営というものは「需要が高まるから…」ですべてが解決されるほど簡単なものではありません。それとも、たかが数百万円程度のコンサル費用で、あなたの利益のために、コンサルが「経営代行サービス」を行うとでも思っているのでしょうか。
そんな他力本願の介護経営者は「自分で責任をもって新しい事業を始める」という最低限のことさえ、わかっていないのです。

また、この手の素人経営者の尻を押す介護コンサルタントは、建築費や設計費などのおこぼれをもらうことで成り立っていますから、事業に参入させることだけが目的で、事業が失敗しようが、倒産しようが、首を括ろうが関係ない、興味さえないのです。だから、事業が始まるまでは、足しげくやってきて、口八丁手八丁でアドバイスめいたことをしてくれますが、実際に事業が始まれば、電話もつながらなくなるのです。

厳しいようですが、この「介護経営のことを全く知らない」「よくわからないのでコンサル任せ」という経営者は、鴨がネギを背負って、自分から騙されに行っているようなものです。
それは「高齢者住宅の開設コンサルに騙されたから、事業再生コンサルに依頼する」というのも、同じことなのです。自分で経営を立て直すという意思がなければ、高いコンサル料金を支払っても、何の効果もなく、表面的なアドバイスだけで、その期間が終われば「バイバイさようなら」です。
このような経営者は、悪徳な経営コンサルタントにとっては最上のお客様ですし、まともな経営コンサルタントは、お付き合いしたくないのです。

続く (自称)介護コンサルタントが増えている背景




関連記事

  1. その収益性は本物なのか Ⅱ ~囲い込み不正による収益~
  2. 有料老人ホーム 「利用権方式」の法的な特殊性
  3. 介護コンサルタントに「事業計画を作ってほしい」と頼んではいけない…
  4. 地域ケアネットワークシステムのアプリケーションは「クラウド型」
  5. 「囲い込み」の高齢者住宅が激増した3つの原因
  6. 成功する「M&A」と業界再編 Ⅰ ~グランドビジョンを…
  7. 入居一時金経営 長期入居リスクが拡大している3つの理由
  8. その収益性は本物なのか Ⅰ ~入居一時金経営のリスク~

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


TOPIX

NEWS & MEDIA

WARNING

FAMILY

RISK-MANAGE

PLANNING

PAGE TOP