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「営業コンサルタント」「ブローカーコンサルタント」には要注意


経営コンサルタントというのは、極めて曖昧な仕事、職種です。
箔付けのためだけに営業マンに「コンサルタント」という役職をつけているの営業マンもいますし、何をしているのかわからないブローカーまで、その内容も様々です。必要とされる資格や経験はなく、どこでも、だれでも、明日からでもコンサルタントになれます。

コンサルティングを隠れ蓑にした脱税や贈収賄、補助金の不正指南は数知れず、コロナ禍でも多数暗躍しており、「自称コンサルタント」は経済犯罪の代名詞でもあり、俗に経済ヤクザと呼ばれる、多くの反社会的組織の方々も「コンサルタント」を名乗っています。ある経営者が、「コンサルタントは有能で悪徳な人か、無能な善人かどちらかにわかれる」と言っていましたが、残念ながら、特に介護コンサルタントは、そう思われても仕方がない業界だと言っても良いかもしれません。
特に、この業界で多いのが、建物設計や建築を目的とした「営業コンサルタント」と、他サービスとの顔つなぎをすることで利益を得ている「ブローカーコンサルタント」です。

【営業コンサルタント】

コンサルタントという名前でも、実際はデベロッパーや設計会社などの営業という人は少なくありません。彼らの目的は、長期安定経営を支援することではなく、とりあえず事業に参画させること、高齢者住宅や介護保険施設を設計建築させることです。
このような「コンサルタントと言う名のセールスマン」に依頼すると確実に失敗します。
「有料老人ホーム等の事業計画の作成や届け出が大変なので開設をサポートしてほしい」と依頼する人は多いのですが、有料老人ホームやサ高住を開設することはとても簡単です。自分の家を建てるのと同じで、お金があれば、銀行から資金調達できれば誰でも開設できます。
しかし、スタッフ不足、入居者不足、介護報酬削減、事故なトラブルなど、様々な荒波・リスクを超えて、介護サービス事業、高齢者住宅事業を40年~50年と長期安定的に経営を続けることはそう容易なことではありません。開設とは比較ならないほど、高いノウハウ・知識・技術が必要です。事業計画の段階で、そのリスクを詳細に検討し、どのように回避するのか、その方針を定めておかなければ、開設直後に事業が行き詰まることになります。
高齢者住宅の事業開設において、もっとも重要なことはその事業特性やリスクを十分に理解し、本当に経営できるのかを判断することです。特に新規参入の場合、事業ノウハウが乏しい場合、この「事業性やリスクの見極め」を介護コンサルタントに依頼するというのが基本です。
介護業界、特に高齢者住宅業界には、「高齢者住宅、儲かりますよ、参入しませんか・・・」と参入意欲をあおる営業コンサルタントは多いのですが、それは怪しい金融商品セミナーと同じで、やめた方が良いというより、そもそも論外なのです。

【ブローカーコンサルタント】

もう一つ、注意が必要なのが「ブローカーコンサルタント」です。
コンサルタントという仕事は、何があっても、その事業の味方・経営者の味方でなければなりません。事業者・経営者は、自分達の経営指南をしてくれる「経営参謀」としてコンサルタントを雇っているはずです。
しかし、実際はそうばかりではありません。この介護業態、特に高齢者住宅業界には、契約している事業者のためのコンサルティングではなく、建築や設計会社からの紹介料を目的とした「ブローカーコンサルタント」と呼ばれる人がとても多いのです。
これは、開設時の設計・施工だけではありません。「人材不足でこまっている」とコンサルタントに相談すると、その原因分析や状況把握もしないまま、「紹介業者」「派遣業者」を連れてきて、契約を勧める人も多いと言います。さらには、「コストの見直し」と称して、設備のメンテナンスや備品・日用品費・事務用品の購入などの業者も入れ替えるように指南するコンサルタントもいると聞きます。
「ここの納入業者は少し高いだな」と思えば、条件を設定し、複数の業者から相見積もりを取れば済むことですが、そんなことはしません。「こっちの方が安い」と聞かされて導入すると、商品のランクが下げられていたり、一年後には値上げをもとめられたりと、碌なことにならないのです。
このように、「経営参謀だと思って雇っていたが、実際は武器商人だった」というケースはとても多いのです。

この「営業コンサルタント」「ブローカーコンサルタント」は、厳しい言い方をすれば事業を食い散らかすシロアリのようなものです。事業・経営者の方を向いて仕事をしていませんし、事業経営・サービス運営が上手くいくようにアドバイスしているわけでもありません。また、そのほんどは介護のことを知らない、素人コンサルタントであり、経営課題を発見したり、それを改善できる能力もありません。
「ひも付きのコンサルタントは辞めた方が良い」というのは、介護業界に関わらず、どの業界でも言われることです。つまり、「コンサルタントに騙された」という人が雇っているのは、そもそも、経営者をサポートする経営コンサルタントでさえないのです。




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