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介護環境整備 七つの鉄則 (後編)


要介護になった時に何をすればよいか
それは、要介護状態に合わせて、介護生活環境を整えることです。
前回のコラム 【介護環境整備 七つの鉄則 (前編) 🔗】では、 

  (鉄則1) 地域包括支援センターに相談をする
  (鉄則2) 介護の入り口で生活環境整備を行う
  (鉄則3) 長期的な視点で生活環境整備をする


という三つの鉄則をお話しました。(まだ、読んでおられない方は先にお読みください)
今回は、その後半です。

(鉄則四) できる限り長く、住みなれた自宅で生活環境を整える

 生活環境整備の土台は、「要介護になったときにどこで暮らすのか」です。
 要介護になった高齢者の住まいの選択肢は四つあります。

  ① 住みなれた自宅で生活を続ける
  ② 親の住む家に子供家族が引っ越してきて同居する
  ③ 親が子供家族の暮らす家に引っ越して同居する
  ④ 高齢者住宅・高齢者施設に転居する

 この中で、介護生活環境整備の大原則は、①の「住みなれた自宅で生活を続ける」です。
 理由は大きく二つあります。
 一つは、要介護状態や認知症の増悪リスクです。
 高齢期には、新しい生活に対する適応力が低下します。
 軽度であっても、認知症や身体機能の低下がある時は、なおさらです。
 血のつながった親子であっても、三〇年離れて生活していると、「掃除・洗濯の仕方」「食べ物の好み」は変わっているため、互いに些細なことが大きなストレスになります。高齢期における生活環境の大きな変化は、認知症の発症・増悪のリスクであることは、よく知られていますし、バリアフリーの高齢者住宅であっても、慣れない環境のため転倒の可能性は高くなります。

 もう一つの理由は、そこで問題が起きても、以前の生活環境に戻せないからことです。
 最初は①を選択しても、状況に応じて②③④に移行することは可能です。
 しかし、逆に②③④の選択した場合、「前の家の方が良かった…」「こんなはずではなかった…」と後悔しても、①に戻すことはできません。


(鉄則5)  老人ホーム・高齢者住宅への入居は重度要介護になってから

「老人ホームへは早めの住み替えがポイント」「元気な時に住み替えた方が、安心・快適」とセールスしている高齢者住宅が増えています。そう言われると、「早めに老人ホームに入れば、介護の問題に頭を悩ませなくてよい」「子供に迷惑かけないですむ」と思うかもしれません。

 しかし、残念ながら、その通りにはなりません。高齢者住宅と言っても「軽度要介護・重度要介護」「身体介護・認知症介護」など必要となるサービスや建物設備は違うからです。
 元気な時に入居しても、「身体機能が低下して要介護になるか」「認知症になるのか」は誰にもわかりません。一つの機能で「小学生から大学生まで一緒に勉強」という学校が作れないのと同じで、「自立から軽度・寝たきり・認知症でも対応可能」という老人ホーム、高齢者住宅は作れません。
 だから、現在の老人福祉施設も、要介護状態別に軽費老人ホーム(ケアハウス)、養護老人ホーム、特養ホームなどに分かれているのです。


 「元気な時に高齢者住宅に入居した方が安心・快適」と言っているのは、それを知らない素人事業者です。そんなところに入居すると、サービスの質も低く、そこで要介護や認知症になると大変なことになります。だから、いま全国の高齢者住宅で事故や虐待トラブルが多発しているのです。
 「介護が必要になったら、老人ホームに入る」と考える高齢者は増えていますが、その場合でも、自宅で生活できなくなってから、要介護高齢者専用の介護サービス・建物設備が整っている高齢者施設・高齢者住宅を選ぶというのが鉄則です。


(鉄則6) 家族介護ゼロを基本とする

 介護保険制度が発足して四半世紀、ようやく介護サービスを利用するのが当たり前と言う時代になってきました。ただ、家族が同居や近隣に住んでいる場合、「日中は通所介護を利用し、夜は家族が介護」「平日は介護サービスを利用するが土日は子供家族が介護」など、「家族介護」と「介護サービス」を併用して介護生活環境の整備をしている事例は少なくありません。

 「子供が介護してくれるのは、ありがたい」と思うかもしれません。
 しかし、介護期間は5年、10年といつまで続くかわかりませんし、「暇なときだけ、時間に余裕があるときだけ」という訳にはいきません。また、最初は軽いものであっても、少しずつ介護負担は重くなっていきます。出張も残業も、友人との旅行もできず、家族が病気になった途端にお互いの生活は破綻してしまいます。

 同居であっても、軽易なものであっても、介護生活環境は「家族介護ゼロで整備する」というのが鉄則です。家族介護がなくても日常生活は可能で、それ以外のショッピングやドライブなどのプラスアルファを家族がサポートするというのが最も望ましい形です。

 しかし、事情により、どうしても家族が日常的・継続的に一部介護をしなければならないというケースもあります。その時は、定期的に介護から離れる期間を作ったり、体調不良などで介護できなくなった場合の対策を検討しておくことです。これには特養ホームのショートステイや老健施設のミドルステイなど、いくつかの方法があります。

 「同居している親の介護をしているけれど、将来が不安」と言う声は大きいのですが、「介護を休みたい」「もう無理…」と思ったときに、どうすれば良いかわかっているだけでも不安やストレスからは解放されます。また、要介護状態が重く、「どうしても家族の介護負担がなければ在宅生活を維持できない」というのであれば、高齢者施設・高齢者住宅を検討しましょう。


(鉄則7) 介護休業制度を活用する  (家族がいる場合)

 介護休業制度は、「介護をするための休み」ではなく、介護生活環境を整えるための休業制度だと述べました。【参照 介護休業制度は「介護をするための休み」ではない 🔗】

 親が子供家族に頼めることがあるとすれば、それは「介護休業まで」です。
 介護休業を取得して時間的・精神的な余裕をもって、介護に立ち向かえるか否かによって、親だけでなく、子供家族の仕事の将来、生活は大きく変わります。介護離職防止のために、政府も積極的に介護休業の取得を推進していますし、この介護休業を効率的・効果的に従業員に取得してもらい、介護の不安なく仕事を続けてもらうことは、企業にとっても、プラスになります。
 子供家族にとっても、「親が要介護になれば、介護休業を取得して、ゆっくり考えればよい」とわかっていれば、漠然とした親の介護不安に、あれこれと思い悩む必要はないのです。

 次のコラムからは、ここで述べた七つの鉄則を元に、要介護になるルート別に、介護休業の取得方法についてみていきましょう



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