ここからは、要介護になるルート「緩やかな身体機能の低下」「緩やかな認知機能の低下」「入院から自宅へ戻る」「入院から施設・住宅への入居」の四つのルートに合わせて、七つの鉄則を元に、介護休業の取得方法、介護生活環境整備の流れやポイントについて整理します。
まずは、身体機能が緩やかに低下していくルートです。

『要介護』ではなくても、介護休業は取得できる
「そろそろ介護の入り口だな」と思ったときは、躊躇なく「地域包括支援センター」に相談します。「洗濯や掃除、ゴミ出しなど一人でできない」「お風呂場で頻回に転倒し、一人での入浴が不安」「食事の準備や買い物が難しい」など、困っていることをメモしておくと、スムーズに話が進みます。社会福祉士、ケアマネジャーなどの専門の資格をもった、経験豊かなプロの相談員がついてくれますから、そのアドバイスを受けながら介護生活環境の整備を行うことになります。
ポイントは、四つあります。
【環境整備のポイント】
① 要介護認定を受ける (要支援~要介護一程度の認定になる)
② 自治体で行われている総合事業他、各種サービスの導入
③ 自宅内での事故・失火等を予防するための生活環境の見直し
④ 多機能電話やセンサーなどの見守り機器の導入
一時的ではなく、継続的に生活上何らかの支援、介護が必要となる場合、要介護認定調査を行うことを勧められます。要介護認定の申請代行は、地域包括支援センターがしてくれますが、「かかりつけ医」がいる場合は、「要介護認定を受けるので、意見書をお願いします」と連絡します。
この認定調査から要介護認定の結果がでるまで一ヶ月程度かかります。恐らく要支援~要介護1程度の軽度要介護の認定がでてくるはずです。要支援の場合、引き続き地域包括支援センターが対応しますが、要介護の場合はケアマネジャーと契約します。
ここで最も重要なポイントは、「あなた専用の介護生活環境整備の相談員がついてくれる」ということです。その人に相談したり、アドバイスを受けたりしながら、自分の望む生活を作っていくのです。
介護サービスを利用しなくても、介護ベッドをレンタルしたり、お風呂やトイレに手すり付けたりと、様々な支援が受けられます。介護保険以外でも、栄養価の高い減塩の配食のお弁当を申し込むなど、できることはたくさんあります。それだけで「生活リズム」「事故予防」「見守り」「安否確認」ができますから、安全、安心な生活環境に変わります。
介護休業は要介護認定の前でも取得できる
働いている子供や家族がいる場合、この初期の介護生活環境整備の段階で一回目の介護休業の取得を依頼します。この介護休業を取得するには、対象家族(配偶者・父母など)が、次の「常時介護をする必要とする状態」であることが前提です。

【介護休業が取得できる『常時介護を必要とする状態』】
① 要介護認定を受けている場合は、おおむね「要介護2以上」であること
② 評価表①~⑫のうち、2が二つ以上、または3が一つ以上、該当すること
③ その状態が継続すると認められること。
介護休業の取得は「要介護認定が終わって、要介護2以上」と思っている人がいますが、ポイントは、②の評価表です。身体機能に関する項目が六つ、 認知機能に関する指標が六つ。このうち、2に関する項目が二つ以上、または3が一つ以上あれば対象になります。
例えば歩行や移乗。「立ち座りの時に、何かにつかまらないと難しくなっている」「家の中でもふらついたり、転倒したりすることが増えている」というのであれば2です。「ご飯を喉に詰めたり、お茶が気道に入って噎せることがよくある」も2です。「手が震えて洋服のぼたんが自分では留められない」「高血圧なのに、薬の飲み忘れが増えている」というのも、2です。
これだけで、2が三つ以上あることになります。
地域包括支援センターで、「要介護認定申請を勧められる」というのは、これらに当てはまる可能性が高いということです。だから、要介護認定の申請中、また申請前でもかまわないのです。
何故、わざわざこんなことを言うのかといえば、述べたように、介護生活環境の整備は、身体機能が低下してきたと介護の入り口で行うことが、最も効率的・効果的だからです。
「何とかひとりで生活できているし…」
「介護のお世話にならないように、がんばらないと…」
そう思っているうちに、転倒事故や急変などのリスクは高くなっていきます。
「薬の飲み忘れが続き、高血圧が進んで脳梗塞に」
「立ち上がるときにふらついて転倒、大腿骨骨折」
「特殊詐欺にひっかかって、ショックを受けて認知症に…」
そうならないように家族も協力しながら、介護の入り口で生活環境を整えるのです。
『介護休業』は二回に分けて取得するのが原則
介護休業の申請は、「取得日の二週間前まで」が原則です。このルートの場合、仕事の調整をしながら、余裕を持って取得することができます。要介護状態や生活環境を大きく変える必要はありませんから、休業期間は一か月もあれば十分です。
「ストーブが古くなっているので、安全機能の高いものに替えた方がいいな・・・」
「重たい買い物は宅配サービスを頼んで、一緒に申し込みをしてみよう・・・」
「変な電話があるな。迷惑電話防止付きの多機能電話を導入しようか・・・」
「二階に上がるのは危ないから、一階で生活できるように模様替えしよう・・・」
子供家族と一緒に、家庭内の事故や災害、失火などのリスクを想定しながら生活すると、気づかなかった様々な課題が見えてくるはずです。
この介護休業は、93日を二回に分割して取得するのが基本です。それは、「要支援・軽度」の時と「重度要介護」の時には、介護生活環境が大きく変わるからです。

この一回目の介護休業取得で、生活環境の土台を整備し、あとは要介護状態の変化に合わせて利用するサービスの調整をしながら、生活を続けていくことになります。
合わせて、地域包括支援センターの相談員や担当ケアマネジャーに、要介護状態が重くなって生活できなくなった場合、どのような高齢者施設、高齢者住宅があるのかなど、これからの話を聞くこともできます。この「緩やかな身体機能の低下」の段階で、適切な介護環境の整備ができれば、これから先、何をすればよいかわかりますから、親子ともに、将来の介護不安は消えます。
そして重度要介護になって、「これ以上、自宅で生活することは難しい」と判断したときに、残りの一ヶ月~一ヶ月半程度の二回目の介護休業を取得し、特養ホームへの申し込みや介護機能の整った特養ホームやグループホーム、要介護高齢者専用の高齢者住宅の検討を行います。
実は、介護生活環境整備は、この『少しずつできないことが増えてきた』『緩やかな身体機能の低下』と言うケースが一番多く、またバタバタする必要もなく、一番簡単です。
ここで、あなた専用の「介護生活環境整備の相談員」がついてくれるのです。
子供や家族がいて、介護休業が取得できる場合は取得してもらい、『慌てず、騒がず、必要な支援・介護・サービスを受ける』ということができれば、一年に一度程度、ケアマネジャーや地域包括支援センターのアドバイスを受けながら、生活環境を見直していけば良いのです。
途中で転倒骨折したり、状況に変化が起きた場合でも、すぐにケアマネジャーや地域包括支援センターの担当相談員がサポートしてくれます。
逆に、ここできちんと対応しないから、『大変だ~、しんどい~』『誰に相談すればよいか、どうすればいいかわからない~』となってしまうのです。
ほらね、「いつ、何をするのか」「何をしてはいけないのか」を知っていれば、介護問題への対応は、それほど、難しくはないのです。


























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