「要介護になったときに何をすればよいのか」
それは要介護状態にあわせて、介護生活環境を整えることです。
そう難しく考える必要はありません。転倒しないようにお風呂に手すりをつけたり、料理ができなくなれば配食サービスを導入、入浴が一人で不安になれば訪問介護、通所介護を利用したりと、各種サービスを組み合わせて、ハードとソフトの両面から自分が望む生活ができるようにすればよいのです。
もちろん、それは要介護状態やどんな生活をしたいのかという希望の他、金銭的余裕によっても、できることはかわってきます。
ここで重要なのは、「何をするのか」よりも「何をしてはいけないのか」を知っておくことです。
「歳をとれば要介護になる」という当たり前のことに、多くの高齢者やその家族が上手く対応できないのは、気持ちの余裕を失って、してはいけないこと、間違った選択してしまうからです。
そこには、七つの鉄則があります。
介護生活環境の整備 7つの鉄則
鉄則 1 地域包括支援センターに相談する
鉄則 2 介護の入り口での生活環境整備が重要
鉄則 3 長期的な視点で介護生活環境を整備する
鉄則 4 できるだけ長く、住みなれた自宅で生活環境を整える
鉄則 5 老人ホーム・高齢者住宅への入居は重度要介護になってから
鉄則 6 家族介護ゼロを基本とする
鉄則 7 介護休業制度を活用する (家族がいる場合)
これだけ守れば、「こんなはずではなかった…」と後悔することはありません。
では、二回にわたって、その理由と注意点について解説していきましょう。
(鉄則Ⅰ) 地域包括支援センターに相談する
将来の介護の不安で多いのは「介護や介護保険に関する知識がない」「要介護になった時に、何をすればよいのかわからない」です。
それは当たり前のことです。自治体によって高齢者施策には違いがありますし、現在の制度を詳細に勉強しても、5年後、10年後には変わっています。「どのような介護生活環境が適しているか」は一人ひとり違いますし、金銭的余裕によっても、できることは変わります。
そのため、最初にすべきことは、それぞれの地域の介護サービスに精通した「介護のプロの相談員をつける」ということです。
それが地域包括支援センターです。
これは、全国どこにでもある公的な無料の「介護よろず相談所」です。エリア制なので、全国どこに住んでいても、必ず住所地を管轄する支援センター(おおよそ、中学校区単位に一つ)あります。
相談料は無料です。 介護生活環境の整備は一人ではできません。子供家族が協力してくれるとしても、専門職ではありません。わからないことや不安なことは、地域包括支援センターの相談員やケアマネジャーにアドバイスを受けながら、一緒に進めていけば良いのです。
「そろそろ要介護の入り口かな? 何をすればいい?」
「突然、入院になって、どこに相談すればよいかわからない」
「物忘れがひどくなって、認知症の初期症状かもしれない、どこの病院がいいだろう…」
「配食サービスを利用したいんだけど、誰に相談すればよいかな…」
すべて、地域包括支援センターに相談しましょう。
これが、介護生活環境整備の第一の鉄則です。

(鉄則2) 介護の入り口での生活環境整備が重要
介護生活環境整備は、「一人で入浴ができなくなった」「排泄介助が必要になった」など、介護サービスの導入を目的に行うというイメージが強いのですが、そうではありません。
その目的は、転倒骨折や急変などのリスクを減らし、できるだけ長く、住みなれた自宅で安全に安心して生活できるようにすることです。そのため、「一人で食事を作るのが大変」「ゴミ出しやお風呂掃除ができない」「最近、よく転倒する」といった、介護の入り口で行うというのが二つ目の鉄則です。
手すりを付ける、段差を減らすなどの住宅改修や、食事管理のための配食サービス、多機能電話や急変への見守りセンサーの導入など、要介護認定を受けなくても、できることはたくさんあります。
この「介護予防のための介護環境整備」は介護費用の抑制策としても極めて重要で、多くの市町村でその地域ニーズに合わせた独自の政策を打ち出しています。
それもすべて、地域包括支援センターで教えてくれます。
多くの人は「そろそろ、一人では大変…」と思っても、「まだ一人で頑張れる」「他の人に迷惑かけたくない」「介護サービスで家の中に入って来られるのは嫌だ」と支援を拒んでしまいます。相談するだけなら無料ですし、「いろんなサービスがあるんだな」と知るだけでも心は軽くなります。
「じゃあ、週に三回、配食サービスからはじめてみようかな」
「お風呂を直そうと思っていたけど、ついでに手すりをつけてもらおうかしら」
そんなところからスタートすればよいのです。
(鉄則3) 長期的な視点で介護生活環境の整備をする
介護予防を行っても、加齢によって身体機能は低下していきますし、認知症も少しずつ症状は悪化していきます。骨折や脳梗塞などで、要介護状態が一気に重くなることもあります。
そのため、介護生活環境整備は一度行えば終わりというものではなく、その時々の要介護状態の変化に合わせて、見直していくというのが第三の鉄則です。
多くの人が介護環境整備に失敗するのは、何もしないわけではなく、「早く安心したい、介護問題から解放されたい」という焦りから、「将来の重度要介護を見据えて同居しよう」「元気な時に老人ホームに入れば、要介護や認知症になっても安心だ」という、その変化を無視した対応をしてしまうからです。

「要支援・軽度要介護」と「重度要介護」では、必要な介護生活環境はまったく違います。
同じ要介護でも、「身体機能の低下」と「認知症」とでは変わります。また、5年、10年経てば、子供も定年退職になり、孫世代が独立するなど生活環境も変化します。お金の問題、子供の仕事や生活設計など、様々なことを勘案しながら、長期的な視点から生活環境の整備を行うことが必要です。

























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