介護事故の民事裁判において、予見可能性があっても安全配慮義務が満たされていたと判断されるには
① 事故予防の対策に過失がなかった。できうる限りの対策を取っていた
② 事業者が提案した事故対策に対して、被害者本人が拒否をしたために発生した
という二つのケースに限定されます。
この②のケースが「自己決定の尊重」と呼ばれるものです。
「車いすの移乗時は、一人では危ないので介助します」
「転倒時の骨折リスク軽減のため安全マットを設置しましょう」
と本人・家族に提案しても、本人が拒否すれば、無理強いをして行うことはできないからです。
ただ、実際の判例を見ると、
「本人がそう言ったから…」というだけでは、安全配慮義務を満たしているとは言えません。
同様に「ケアプランにサインしてもらっているから…」というだけでも、自己決定にはなりません。
ここでは、病院やデイサービスで発生した介護事故裁判を例に、
介護看護における法的に求められる「安全配慮義務」の範囲とはどこまでなのか…。
そして、介護事故裁判にしないために、また万一裁判になっても負けないために、
介護現場で、また説明の段階でどのような工夫をすればよいのかについて、考えます。
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