SOCIAL

親が要介護になる四つのルートと唯一の「避けたいケース」

 歳をとれば、突然死でない限り、誰でも要介護や認知症になります。
 これは自然の摂理であり、当たり前のことです。
 でも、どうして、その時にバタバタと慌ててしまうのかといえば、「いつ」「何が原因で」「どのような要介護状態になるのか」を事前に想定できないからです。
 ただ、全く想定できないという訳でもありません。
 高齢の親が要介護になるルートは、大きくわけて四つあります。

① 身体機能がゆっくりと低下していく
 一つは、身体機能がゆっくり低下していくケースです。
 歳を重ねるごとに、筋力・体力、骨密度を含め身体の機能は低下していきます。
 【ゴミが出せない、お風呂で転んだ、外に出るのが億劫だ・・・】
 【目が見えない、耳が聞こえにくい・・・】
 わたしも、あなたも歳をとれば、みんなそうなります。
 ただ、そうバタバタと慌てる必要はありません。要介護といっても、始めは要支援や要介護一くらいからスタートです。だから、今と変わらない環境で、同じように生活をしてもらうのが基本です。困っていることを聞いて、必要な介護サービスや見守りサービスなどを導入します。


③ 検査で初期・軽度の認知症だと診断された
 三つ目は、認知症で認知機能がゆっくり低下していくケースです。
 歳を重ねるごとに、身体機能の低下と同じように、脳の機能が少しずつ低下していくことも、避けられません。
 【時間や曜日がわからなくなる。何度も同じ話をしたり聞いたり…】
 【いつもあっている人なのに、名前や関係性が上手く思い出せない…】
 検査などで、認知症だとわかれば、ショックを受けると思いますが、これも、そうバタバタと慌てる必要はありません。
 認知症でも、初期の場合、今と変わらない環境で同じような生活が可能です。
 今は、進行を緩やかにする薬もあります。お医者さんとも話をして、介護休業制度も活用しながら、困ったこと、できないことを把握し、必要な介護サービスや見守りサービスを導入します。

④ 気づいた時には認知症が相当進行していた
 そして、四つ目が気付いた時には、認知症が相当進んでいたというケースです。
 【夜間徘徊していて警察に保護されたと連絡があった…】
 【近くに住む人から、家の中が大変なことになっている電話があった・・・】
 実は、これまでの三つのケースは避けられませんが、この④のケースだけは、普段から電話をしたり、コミニュケーションを取っていれば、避けることができます。そして、このケースだけは何とか避けたいのです。
 一人で生活することはできませんから、すぐに誰か家族が付き添わなければなりません。すぐに入所・入院できる老人ホームや病院を探す必要がありますが、そう簡単ではありませんし、本人は納得しないでしょうから、感情的にも精神的にも相当、大変な思いをします。


高齢者が要介護になるケースは、必ずこの四つのどれかに当てはまります。
述べたように、①~③のケースは、避けることはできませんが、それぞれに介護休業を取得して、ゆっくり、じっくりと対応することが可能です。
逆に、バタバタして大変な思いをするのは④の「認知症が相当進んでいた」というケースだけで、それさえ避けることができれば、「親の介護」はそう恐れる課題ではないのです。
しかし、多くの人は認知症を過度に恐れるあまり、「変な話をしているが、勘違いしているだけだろう…」「もう少し、様子を見てから考えよう・・・」と現実から目をそらしてしまいます。その結果、ある日突然、警察から電話がかかって、大慌てで対応しなければならなくなるのです。


そうならないために大切なことは、普段から認知症の話を親としておくことです。できれば、定期的に「健康診断」のつもりで、かかりつけ医で認知症の簡易検査を受けるように話をしましょう。認知症でなければ、それで安心ですし、仮に初期の認知症と判断されても、早く治療ができれば、それは全く恐れる病気ではないのです。





関連記事

  1. 業務シミュレーションの条件 ① ~対象者の整理~
  2. 建物設備設計の工夫で事故は確実に減らすことができる
  3. 運営中の高齢者住宅 「介護システムの脆弱性」を指摘する
  4. 共用トイレの安全設計について徹底的に考える
  5. 小規模の地域密着型は【2:1配置】でも対応不可 (証明)
  6. 「建物設備」×「生活支援サービス」の一体検討が不可欠
  7. 高齢者住宅 建物設備設計の基礎となる5つの視点
  8. 火災に強い高齢者住宅設計のポイントとその基準 Ⅰ

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


TOPIX

NEWS & MEDIA

WARNING

FAMILY

RISK-MANAGE

PLANNING

PAGE TOP