「要介護になった時に、過度な負担をかけたくない」
「要介護になった親のために、できることはしたい」
そう考えている、多くのご家族に、是非知っていただきたいのが「介護休業制度」です。
子供が親の介護をするには四つの余裕が必要です。
「時間的余裕」 ・・・ 介護・介助に充てるための時間
「体力的余裕」 ・・・ 実際に介護・介助をするための体力
「金銭的余裕」 ・・・ 望む生活・介護を受けるためのお金
「気持ちの余裕」 ・・・ 介護に向き合うための気持ち・ゆとり
時間的余裕、体力的な余裕は、「介護サービス」で代替することができます。
金銭的な余裕は一人一人違い、余裕のある人は、それだけ選択肢が増えます。
実はこの中で、すべての人に共通して最も重要なのが「気持ちの余裕」です。しかし、要介護になった時に、本人だけでなく、家族を含め多く人が一番先になくしてしまうのが、この余裕なのです。
「脳梗塞で倒れて入院した」と突然の電話がかかり、一命を取り留めたと聞いてほっとしたのもつかの間、重い麻痺が残ると聞かされ、「自宅で生活できるのか…」「介護地獄が始まるのか・・・」「仕事を辞めないといけないのか…」と、精神的にどんどん追い詰められていきます。

一方、気持ちの余裕があれば、「介護サービスや見守りサービスを組み入れて、自宅で生活できるかどうかじっくり考えよう」「老健施設でリハビリして、特養ホームの申し込みをして…」など、制度や使えるサービスについて理解し、それぞれの金銭的余裕に合わせて、最適の答えを出すことができます。
これはお金があっても、なくても同じです。
『イザ、介護』のときに、慌てたり、混乱したりせず、その気持ちの余裕を確保できるか否かが、その後の介護生活、ひいては子供家族の仕事や生活の未来を決めることになるのです。
それはわかっているけれど、「遠距離で仕事をしていて、まだ子供も小さく、その余裕さえないから、焦ったり、慌てたりするんだ…」と思うかもしれません。
その気持ちの余裕を確保するために作られたのが「介護休業制度」なのです。
簡単に介護休業制度について、簡単に整理しておきましょぅ。

サラリーマンが「育児・介護休業法」に基づいて親等の介護のために休みを取ることができる制度は、「介護休暇」「介護休業」の二つがあります。
その大きな違いは「取得日数・取得方法」です。
介護休暇は、一年に五日間。「要介護の母の具合が悪くなり、病院に連れていくので一日介護休暇を取得する」「ショートステイの送迎のために半日、介護休暇を取得する」など、家族が実際に介護を行うための休みです。
これに対して、介護休業は、介護のために一定期間、継続して休みを取るというものです。対象家族一人に対して93日間休むことができます。一回で連続して93日間休むこともできますし、三回まで分割して所得することも可能です。
しかし、残念ながらその取得はほとんど進んでいません。育児休業の取得者がいる企業の割合は八割を超えるのに対し、介護休業は2~3%に留まります。それは、「介護休業の取得者がまだ少ない」という心理的なものだけでなく、企業も労働者も、「育児休業=子供の育児をする期間」と同じように「介護休業=親の介護をするための休業」だと誤解し、介護期間は5年、10年となるのに三か月程度休んでも意味がないと考えるからです。
ここに大きな誤解があります。
介護休業は、「介護するための休み」ではありません。
大切なことなので、もう一度言います。
介護休業は、「介護するための休み」ではありません。
なぜなら、子供の役割は、親の介護をすることではないからです。
「育児・介護休業法」と法律は一つですが、育児休業と介護休業は役割や目的がまったく違うのです。
介護休業は、子供や家族が余裕をもって、要介護になった親の生活環境を整えるための制度です。
それは要介護になった親のためだけではありません。子供家族が、介護離職や介護別居をせずに、「精神的支援」「優良事業者の選択・契約」などの家族の役割を果たし、これまで通りの仕事、生活を継続するための制度なのです。
子供家族がいる場合、介護準備、介護対策には、この「介護休業制度の正しい理解」と、その活用のイメージを共有することが必要です。
そうすれば、ほとんどの介護問題は解決します。
次章では、「イザ、要介護」になった時の生活環境整備のポイントや、要介護になったルートごとに介護休業制度の取得方法について整理します。


























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