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介護生活環境の整備 Ⅳ  ~入院から施設・住宅~


 最後の一つは、骨折や脳梗塞などで入院をしたあと、重い麻痺などの後遺症で寝たきりになって、自宅に戻ることが困難になるルートです。

 これも基本は同じです。
 まずは病気やケガをきちんと直すこと、そして廃用性症候群にならないよう、できる限り早期に離床し、リハビリを行うことです。麻痺が重く、寝たきりに近い状態になって、介護機能の整った特養ホームや介護付き有料老人ホームに入ることになっても、「ベッドから車いすへの移乗が一人でできる」「食事は自分でできる」など、ADL(日常生活動作)の回復度によって、その後の生活の質(QOL)は変わってきます。
 入院中の要介護認定申請から退院、施設や高齢者住宅への入居までの流れを簡単に整理します。

入院から施設・高齢者住宅に入居する時の生活環境整備のポイント

 骨折や脳梗塞で救急搬送された最初の一般病院、救急病院では、治療が終わればすぐに退院を求められます。しかし、介護付有料老人ホーム、特養ホームなどの終の棲家は、短期間では決められませんから、一時的に地域包括ケア病棟や老人保健施設を経由することになります。そこで、三か月から半年程度の余裕はできますから、全く慌てる必要はありません。
 その時期についてはMSWと相談、調整をしましょう。

 ひとり暮らしが困難になるのは、要介護4~5という重度要介護です。
 そうなると、民間の高齢者住宅ではなく、特養ホームへの優先入所の可能性も高くなります。
 自宅に戻る場合、ケアマネジャーの選任が必要となりますが、地域包括ケア病棟や老健施設からの退院、退所後そのまま特養ホームや介護付き有料老人ホームに入居する場合、在宅のケアマネジャーは必要ありません。これもMSWや老健施設の相談員と相談しながら、検討します。

 ここで、絶対にやってはいけないのは、とりあえず早く次の入所・入居先を決めてしたいと、「安心・快適」「退院後にすぐに入居可」という、サ高住や有料老人ホームを選んでしまうことです。この類の高齢者住宅は、間違いなく質の低い、悪徳・もしくは素人経営です。

 本来、高齢者住宅や特養ホームに入居するには、要介護状態が安定し、アセスメント(要介護状態の診断)やケアプランの作成、受け入れ態勢の整備、契約内容やリスクの説明などが必要になるため、申し込みから入所・入居まで、一ヶ月程度、どれだけ急いでも二週間程度はかかります。
 丁寧に費用やリスクの説明、ケアプランの作成・検討を行わなければ、「入居後にすぐに転倒骨折」「パンフレットの費用と違う」などのトラブル・リスクが高くなるからです。それは、高齢者住宅事業者だけでなく、働いている介護スタッフが困るのです。
 逆に言えば、そのリスクを背負っても、高齢者や家族の不安に付け込んで、入居者を集めなければならないほど、人気がない、経営状態の悪い高齢者住宅だということです。つまり、経営の質もサービスの質も最悪だということです。

入院から施設・高齢者住宅に入院する時の介護休業取得のポイント

 この介護生活環境の整備にも、介護休業は有効な手段です。
 一回目の介護休業は退院のサポートから老健施設等への入所支援、及び特養ホームや高齢者住宅選びに一か月半から二か月程度の休業を取得します。

 自宅で、重度要介護の親の介護をしながら高齢者住宅を探すのは大変ですが、地域包括ケア病棟や老健施設等への入所と介護休業と併用することで、特養ホームへの申し込みや、介護機能の整った優良な高齢者住宅を検討する期間は十分に確保できます。病院のMSWにも、介護休業を使って特養ホームの入所や高齢者住宅選びを始めることを伝えておくと、スムーズに進みます。

 そして、特養ホームや高齢者住宅への入居に合わせて、二回目の介護休業を取得します。これは一ヶ月くらいでよいでしょう。その間に、老健施設等からの退所と終の棲家である特養ホーム・介護付有料老人ホームへの入居の支援を行います。入所後も、できるだけ面会をして、「特養ホームでの新しい生活に問題はないか」をモニタリングしたり、介護スタッフやケアマネジャー、管理者とコミュニケーションをとり、希望や改善点を伝えます。
このように、「脳梗塞で緊急入院になった」「一命を取り留めたけれど麻痺が重く自宅に戻れない」「病院からは早期の退院を求められている」と言う場合でも、何をすればよいかわかっていれば、バタバタと慌てる必要はないのです。

 さて、ここまで、介護生活環境の整備のポイントを四つのケースに分けて整理してきました。
 繰り返しになりますが、原則は、できるだけ長く、住みなれた自宅でこれまでと変わらない生活を続けることです。認知症が重くなると自宅で暮らすのは難しくなりますが、身体機能の低下の場合、要介護状態が重くなっても、介護サービスの利用や住宅改修などの環境を整えることで、高齢者施設や高齢者住宅に入らずに生活している高齢者はたくさんいます。

 この自宅での介護生活環境整備で、もう一つ大切なことは「完璧を目指さない」ということです。
 多くの人が、この介護生活環境の整備に失敗するのは、「一人でいるときに転倒したら」「トイレで動けなくなったら」と、あれこれ考えすぎて、「安心・快適」「すぐ入居可」という中身のない高齢者住宅を選んで、「こんなはずではなかった…」となるのです。

 老人ホームに入っても家族と同居しても、100%の安心はありません。
 またいまは、インターネットやセンサーによって、異変や事故の早期発見、早期通報は可能ですし、その機能はこれからもどんどん進化していくでしょう。自宅で生活を続けても、困った時にどうするか決めておけば、過度に恐れることはないのです。



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