【介護休業は「介護の入り口」「二回分割取得」が基本🔗】で述べたように、基本的に二回に分割しての取得が効率的・効果的です。それは、「軽度要介護の介護環境・生活環境」と「重度要介護になった時の介護環境・生活環境」は変わるからです。ただ、どのようなルートで要介護状態になるのかによって、その取得方法や注意すべきポイントは変わります。
ただ、【親が要介護になる四つのルートと「避けたいケース」🔗】で述べたように、親の介護で、一番対応が難しいのがこの「わかった時に認知症が進行している」というケースです。

「警察から、夜間に徘徊していたのを保護したと電話」
「慌てて、家に帰るとゴミ屋敷で、冷蔵庫の中も腐ったものだらけ」
「何日もお風呂に入っていない様子で、身体から悪臭がする」
親の変わり果てた姿に、頭が真っ白になると思いますが、ゆっくり考える時間はありません。すぐに、地域包括支援センターへ相談し、事情を説明し、要介護認定調査の申し込みをするとともに、紹介された精神科・精神内科などで、認知症の診察を受けます。
「わかった時には認知症が進行していた」というケースが難しい理由
問題の一つは、認知症の進んだ親を一人にしておけないということです。
とりあえず、会社に連絡をして、一週間程度の有給休暇を取得します。
要介護認定がでていなくても、要介護状態が重いことが明らかな場合、一時的に特養ホームのショートステイや老健施設のミドルステイを利用することができます。地域包括支援センターの相談員に、「介護休業の申請をしているので、それまで何とか知恵を貸してほしい」と言えば、相談員はいろんな施設に連絡して一緒に考えてくれるはずです。
同時に、介護休業を申請します。この介護休暇は、原則の二週間前に申し出しなければなりません。ただ、ショートステイやミドルステイ、一時入院などの緊急対応策が取れない場合、有給休暇に続いて介護休業が取得できないか、上司や人事に相談しましょう。
老健施設のミドルステイ(3ケ月程度)を利用することができれば、一息つくことができます。ただ、その退所までには、入所・入居できる特養ホームや高齢者住宅を探さなければなりません。
このケースに限り、二回に分割して取得するのではなく、一回取得になります。
一緒に生活をして介護しながら、もしくは特養ホームのショートステイや老健施設のミドルステイを利用中に、介護休業を取得して、グループホームや特養ホーム、高齢者住宅を探します。グループホームは認知症高齢者を対象にしたものです。また最近は特養ホームでも、自宅で生活が困難な独居、認知症高齢者を優先して入所させるようになっています。ケアマネジャーに相談をして、積極的に入所の申し込みをしましょう。
もう一つ、大変なのが、認知症はその症状が進行していても、「一人で生活を維持することができない」ということを本人が理解できないことです。ほとんどの場合、認知症であることさえ本人は認めません。混乱のあまりに、攻撃的になる人もいますし、人格が変わってしまう人もいます。
これまでとは全く違う、親の言動に大きなショックを受けるはずです。
ただ、「何回説明すればわかるんだ」「昨日言っただろう」と怒ってしまうのは最悪の対応です。認知症は病気です。骨折している人になぜ速く走れないのかと問うのと同じです。怒ってしまうと、認知症が進む、周辺症状がでるなど、より問題を難しくするだけです。
焦ってしまい、「会社にも迷惑をかけているので、できるだけ早く決めたい」と思うかもしれませんが、「安心・快適」「認知症でもすぐに入居できます」という美辞麗句ばかりの高齢者住宅はお勧めしません。すぐに入居できるのはそれなりの理由があるからです。無理矢理入居させても、トラブルが続出し、まともな介護は受けられないと考えた方が良いでしょう。
我慢と根気のいることですが、「一人で生活を続けることが不安」「老人ホームに入所してくれると安心」ということを、繰り返しやさしく丁寧に伝えることが必要です。ショートステイ・ミドルステイを活用しながら、介護休業期間を活用して、親子ともに安心して生活できる終の棲家を見つけましょう。
ただ、このケースは、じっくり、ゆっり検討することができず、相当バタバタします。
繰り返し述べている通り、このケースは避けることができますし、何とか避けたいのです。
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