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「介護の仕事はどこでやっても同じ・・・」は大間違い

法人・事業所・経営者によって介護サービスの質・スタッフの質・働きやすさ・労働環境は全く違う。「介護の仕事は最悪だ…」と思うのは、介護が最悪なのではなく、その事業者の労働環境が最悪。
介護労働環境の二極化は、今後さらに拡大していくことになる。

介護スタッフ向け 連 載 『市場価値の高い介護のプロになりたい人へ』


施設内での介護死亡事故や介護虐待、介護離職者の増加、慢性的な介護人材不足などの介護問題が、新聞やテレビ、ワイドショーでも話題になることが増えています。インターネットのヤフーニュースなどにもアクセス数が多いのか、上位にランキングされることもあります。
「介護の仕事は忙しくて大変なのに、給与が安いから最悪だ…」
「介護は、介護スタッフの犠牲によって成り立っている…」
「認知症などで殴られた、暴言を吐かれた、やってられない…」
といった、否定的、辛辣なコメントが上位にずらりと並びます。

そのようなコメントを目にすると、哀しく残念に思いますが、「そうではない」と強硬に反対する気もありません。人には性格によって向き、不向きというものがありますし、仕事に何を求めるのかは、人それぞれ違います。「介護の仕事は最悪だ…」と思うのであれば、やりがいを見つけられる他の仕事をすればよいのに…と単純に思うだけです。
少し厳しいことを言えば、お金を稼ぐということは、そう簡単なことではありません。
だれにでもできる単純作業で、成果や成績も求められず、叱られることも責任を問われることもなく、理不尽なことも一切なく、面白可笑しく時間が過ぎて、たくさんお金がもらえるような仕事、毎年給与が自動的に上がっていく仕事なんて、どこにもありません。
大変で、忙しいのは介護の仕事だけではありません。
「介護の仕事は最悪だ」という人は、他の仕事をしても「営業の仕事は最悪だ」「この会社は最悪だ」「あのお客はくそだ」「上司も同僚も最悪だ…」と文句を垂れることになるでしょう。

ただ、一方で可哀そうだな、気の毒だな…という気持ちもあります。
そのようなコメントを残しているのは、いま介護の仕事をやっている人、もしくは元介護の仕事をやっていた…と言う人達です。彼らは、少なくとも初めは多少なりとも、介護の仕事に意欲をもって、介護の仕事を頑張ろう…と始めたはずです。それらのコメントには「目的や夢をもって介護の仕事を始めたのに裏切られた」という哀しみや憤りの裏返しであるように感じるのです。

「介護の仕事は…」という発想は、どこが間違っているのか

「介護の仕事は・・・」という発想は、どこが間違っているのか。その原因は何か
ひとつは、介護という仕事は、どこでやっても、どの事業所で働いても同じだと思っていることです。
例えば、特別養護老人ホームと通所介護の介護スタッフの業務内容は基本的に全く違いますし、介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホームでも違います。
「特養ホームであれば、どこでも同じだろう…」と思うかもしれませんが、これも違います。
「介護の仕事は頑張って働いても給与が上がらない」「介護報酬が低いからだ…」と盲目的に信じている人がいますが、もちろん、そんな特養ホームもありますが、その努力や技術・知識・ノウハウを適正に評価して、昇進し給与や待遇が上がっていく事業者はたくさんあります。10年、15年働いて年収600万円、700万円もらっている人もたくさんいます。

業務内容、給与・待遇以上に違うのが、労働環境です。
自分が働いている事業所しか知らない場合、またそれが平均・普通のレベルだ、どこでも同じような介護をしていると思っているかもしれませんが、事業所によって、サービスの質、スタッフの質、はたらきやすさや労働環境は全く違います。天と地ほどの差があります。
清潔で明るく、みんなキチンと優しく「いらっしゃいませ」と挨拶してくれるところもあれば、一ヶ月前のイベントのお知らせが貼ってあったり、靴を踏んでべったら、べったら歩いていたり、しかめっ面をしながら「なんだこいつは」と睨まれるところもあります。
介護スタッフが、介護をしながら利用者・入居者と楽しそうに会話しているところもあれば、スタッフコールが止まることなく鳴り響き、血走った目で走り回り、「この時間、一人でこれだけの要介護高齢者を介護しているのか…」「二人だけでこの人数の入浴介助をしているのか…」「夜勤帯に何か起きればどうするのか…」と、こちらのほうが「うわぁ~」と声を上げたくなるような、私なら一日で辞めてしまうだろうと思う悲惨な労働環境のところもあります。
「それはスタッフ個人の資質の問題だろう…」と思うかもしれませんが、「一人だけ飛びぬけ態度が悪い」「一人だけ、きちんとしている」という事業所はありません。
「スタッフが次々辞めてしまうので、困っている」「派遣に頼らざるを得ない」という経営相談をうけることがありますが、「あなたはここで働きたいと思うか? 楽しく、意欲をもって安全に働けると思うか?」「いま働いている介護スタッフは、この労働環境に満足しているか?」と、自分の立場に置き換えて問うて再考すれば、その理由がわかるはずです。

それは、個人的な感情ではなく事実であることは、離職率に表れています。
介護業界の離職率の特徴は、山型ではなくU字型であるということです。
例えば通所介護。介護スタッフの離職率が10%未満というところが全体の約半数、45.6%ですが、次に多いのが離職率30%を超える事業所でこれが20%あります。同様に介護付有料老人ホームでも、離職率10%未満が32%に対し、離職率30%超で19.6%です。つまり、介護スタッフがすぐに辞めてしまう事業所と、ほとんど辞めない事業所に二極化しているのです。

その背景にあるのは素人事業者の増加です。
残念ながら、介護業界は、他の業界のように、きちんとその業界で修業をして、業務内容を理解して独立するというのでなく、介護保険制度の発足によって、介護の基本も理解しないまま、「要介護高齢者が増える」「介護は儲かる」と参入してきた素人事業者が少なくありません。彼らは、すぐに「離職率が高いのは介護報酬が低いからだ…」と責任転嫁をしますが、言うまでもなく離職率が高いところも、低いところも、従業員の満足度の高い事業者も低い事業者も介護報酬は同じです。
つまり、「介護の仕事は最悪だ・・・(怒)」ではなく、あなたが働いている事業所の労働環境が最悪なのです。それに気が付かないまま働いている介護スタッフが多いのです。
この介護サービスの質、介護労働環境の二極化は、今後さらに拡大していくことになります。


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