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こんな介護サービス事業者で働いてはいけない ~事業所内の見学からわかること~

介護の求職活動において、事業所内・施設内の見学は必須。面接者は将来の上司、「この人は介護のプロだ」「この人と一緒に仕事がしたい」と思えるか。事業所内を見学し、「先輩となる介護スタッフのふるまい」「事業所内の雰囲気」「利用者・入所者の生活レベル」を確認する

介護スタッフ向け 連 載 『市場価値の高い介護のプロになりたい人へ』

こんな介護サービス事業者で働いてはいけない・・・
その13回目、最終回は見学時のチェックポイントです。
(※ このコラムはコロナ禍が明け、見学できる前提で書いています)

前回、教育・人材育成のポイントとして、新人教育・キャリアアップ研修がシステム化されていること、人事制度と連動していることが大切だと述べました。
つまり、面接のポイントは、「あなたがどうなりたいのか、どのような介護のプロになりたいのかを聞いてくれること」「それを実践するために、どのような教育・キャリアアップ・人事評価があるのかを説明してくれるところ」ということになります。

そう言うと、「大手の方が良いのか…」ということになりますが、それは半分イエスです。
デイサービス二か所、一か所だけの介護付有料老人ホームでは、
「マネジメント能力を高めて、将来はデイサービスを起業したいと考えている…」
「介護の現場を十分に勉強してから、ケアマネジャーや生活相談員になりたい」
「早く昇進して、管理者や施設長になって、自分の理想とする介護を実践したい」
といっても、それを内部で実践できるだけのキャパシティがあるかと言えば難しいところがありますし、経営者が「介護事業はこれ以上は拡大させない…」と考えているのであれば、そこでケアマネジャーや生活相談員、管理者になることは難しいでしょう。
これは、現在大手か否かというわけではありませんが、介護サービス事業所はこれからも増えていきますので、将来設計・目的によっては、規模を拡大している、成長している事業所を希望・選択することが必要かもしれません。

ただ、これは「大手ならいい、拡大している事業所の方がいいのか…」という話ではありません。
事業の発展は、介護スタッフの成長と歩調を合わせる必要があります。人材育成を蔑ろにして規模の拡大だけしてきた大手事業者は、すでに足元がぐらつき、事故やトラブルの激増で、数年後には大規模倒産を起こすと言われています。急いで、パワーポイントで急いで作ったような教育・キャリアップ・人事システムを構築していますが、教える中身のマネジメント力もなければ、それを教える人もいないので、絵に描いたトラ、中身はスカスカです。

事業所での面接時には、必ず事業所内の見学をお願いしよう

それは、どのように見分けるのか…、一つは面接者を観察するということです。
面接者は、その事業者の管理者や部門責任者(介護主任など)です。
言い換えれば、その人達の人柄・能力・知識・技術・ノウハウが、その事業所を代表するものであり、その事業所に入れば、その人があなたの上司になるのです。
「こんな介護のプロになりたいな…」「この人と一緒に仕事がしたいな…」と思えるか否か。それはフィーリングや好き嫌いもありますが、職場での人間関係、信頼関係という意味からも、その直観的はとても大切です。わたしもたくさん面接をしましたが、面接後に断られると「私に魅力がなかったんだな…」と凹みますし、採用日には「彼らの期待を裏切ってはいけないな…」と気持ちが引き締まります。

二つ目は、事業所内の見学を依頼するということです。
あなたが入職をして働く事業所を事前に見ておくことは、求職活動において必須です。
まずは介護スタッフを見ること。
そこで働いている人達は、入職すればあなたの先輩・同僚になる人達です。
キチンとして身なりで、「こんにちは…」と温かく迎えてくれるところもあれば、ユニフォームが汚れていたり、靴を踏んで歩いていたり、ボソッと小さく会釈をするだけだったり、中には「なんだこいつは…」という顔で見る人もいます。利用者・入居者に対する介護や声掛け、介護スタッフ間の会話も聞きましょう。そこに入職すれば、あなたはその一員となるのです。
これは個人の資質ではなく、事業者の資質です。他の人はみんな気持ち良いのに、一人だけ最悪ということも、ほとんどの人は態度が悪いのに、一人だけ感じが良い…ということもありません。また、今日、求職希望者が面接・見学にくるということはわかっているはずですし、一緒に付き添っているのは管理者、もしくは部門責任者です。明らかに態度の悪いスタッフがいるということは、その事業所では、来訪者・お客様に対し、上司の前でもそのような態度が許されているということ、つまりマネジメントができていないということです。

次に事業所内の環境をみること。
掃除が行き届いているか、スタッフルームは整理整頓されているかなどもさりげなくチェックましょう。例えば、掲示物が曲がっていたり、一週間前に終わったはずのイベントの広告がそのままになっている…というところもあります。
介護の仕事は、与えられた食事介助・入浴介助などの業務だけを粛々とこなせばよいのではなく、「山田さん、ふらつきが大きいな…」「佐野さんの車いすの空気が抜けているかも…」「岩本さん、徘徊が激しいな…」といった、小さな変化を察知する能力が求められています。それは介護看護スタッフだけでなく、生活相談員・事務職を含め、すべて同じです。
掲示物が曲がっているのに誰も気が付かないと言うのは、管理者を含め事業所全体で、その感度が鈍っているということです。

そして、介護実務や入居者をみるということです。
これは言うまでもありませんが、特に重度要介護高齢者の服装や整容には、その事業者のサービスレベルが表れます。高齢者に対して介護スタッフはどのような声掛けをしているのか、車椅子に正しく乗せられているか、高齢者の表情、スタッフの表情からも、色々なことが見えてきます。



さて、ここまで13回に渡って、あなたが働くべき介護サービス事業者の特徴、介護のプロか素人事業者化の見分けるポイントについて述べてきました。
ただ、このように整理をすると、
「介護の仕事はどこでも同じではなく、事業所によって格段の差がある」
「人材育成・労働環境は、プロの事業者と素人事業者に二極化している」
「介護のプロの事業者で働くか、素人事業者で働くかによって未来は分かれる」

ということが、わかっていただけたかと思います。

もちろん、100点満点の事業者はありません。
ここでは、「素人事業者の特徴」という視点で厳しい話をしましたが、実際は多くの事業者・経営者は、それぞれ試行錯誤をしながら、「利用者・入居者のために質の高いサービスを提供しよう」「介護スタッフの労働環境を少しでも改善しよう…」と努力・苦悩をしています。そして、入職すれば、あなたも、一員としてその努力・苦悩に加わるのです。
もちろん、介護サービス事業所は学校ではありませんから、「プロの事業者に入れば自動的にプロになれる」というものではなく、考えて、工夫して、悩んで、あなたの不断の努力が何よりも重要であることは言うまでもありません。
数年後、入職してくる新人に、「この人のような介護スタッフになりたいな」「この人と一緒に仕事がしたいな…」と思ってもらえるのであれば、きっとあなたは「介護のプロ」に近づいているはずです。


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