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重要事項説明書 ⑦ ~サービス概要を読み解く~

高齢者住宅 重要事項説明書 介護サービス概要を読み解く。介護関連サービスは、介護付有料老人ホームは基本的にすべて「あり」。ただし、安否確認や金銭管理サービスは内容の確認が必要。医療的ケアは「できる」と言っている事業者が優秀なわけではない。

高齢者・家族向け 連載 『高齢者住宅選びは、素人事業者を選ばないこと』 041


ここからはサービス内容のチェックです。
提供される介護サービスの概要、医療的ケアの内容が記入されています。
どのようなことが記入されているのか、その内容とチェックポイントを整理します。

提供するサービスの概要を見る

この「提供するサービス」は、大きく「介護サービス」と「その他サービス」に分かれています。
まず、介護サービスから見ていきましょう。
二段目の食事介助サービスから服薬管理サービスまでは介護関連サービスとして、介護保険で義務付けられているものです。そのため、介護付有料老人ホームの場合は、すべて「あり」と書かれているはずです。健康診断の実施やその他実費を除けば、基本的には介護保険サービス、上乗せ介護サービスの中に費用が含まれています。

ただ、これはあくまでも概要です。
この「あり・なし」だけでは個別の内容はわかりません。そのため、別途一覧表として巻末に、居室の清掃や洗濯は一週間に何度するのか、入浴については「週2回までは介護保険内、週3回以上希望する場合は別途費用」、排せつ介助については何度行っても無料だが、紙おむつ代については実費など、要介護度別にそれぞれに細かく表示されています。
それを見れば、初めて高齢者住宅に入居する人でも、実際にどのようなサービスが行われているのか、別途費用として何が必要なのかがイメージができます。
それほど難しいものではありませんので、合わせて確認しましょう。

これに対して、「食事サービス」と一番下の「金銭管理サービス」は、介護保険サービスに示されていない「その他サービス」です。
サ高住の場合、高齢者住宅は食事サービスを行わず、入居者と配食業者や併設レストランとの「個別契約」というところも多いのですが、有料老人ホームでは、食事はその有料老人ホーム事業者から提供されるのが一般的です。その有料老人ホームが調理員や栄養士を直接雇用して提供されている場合は「直営」、調理や栄養管理などの全部、また一部を外部の給食業者に委託している場合は、「業務委託」となります。

もう一つのその他サービスは、「金銭管理サービス」です。
これは、金銭管理が一人でできない独居高齢者や、家族が離れて生活している高齢者に対し、ホームの利用料、医療費の支払やお小遣いの管理などを行うサービスです。
この金銭管理サービスは、基本的に希望者のみのサービスで有料です。

ただ、この金銭管理サービスの利用には、注意が必要です。
それは「どこまで行うのか」という範囲や内容が事業者によって大きく異なるからです。
判断力が低下した独居高齢者や本人の意思が確認できない認知症高齢者の資産を管理するというのは容易ではありませんし、亡くなった場合、その相続の手続きをどうするのかという問題もでてきます。また、「使っていない、もらっていない」というトラブルも発生しますし、不正をどのように防ぐのかという管理体制、第三者のチェック体制の確立も必要です。

例えば、毎月定まった額の利用料、医療費、電話代、お小遣いなどの支払であれば代行できますが、「次男に長男に内緒で100万だしてやってほしい(保証人は長男)」「今月は小遣いを10万円(いつもは3万円)欲しい」などという依頼があった場合にどうするのか。本人のお金であり自由だとは言っても、後で保証人とのトラブルになることは明らかです。また、浪費によって、老人ホームの利用料が支払えなくなった場合にどうするのか・・という問題もでてきます。
実際、事務担当者が入居者のお金を流用していた…などという問題も発生しています。

そのため、「金銭管理サービス」は行っていない有料老人ホームもたくさんあります。
本人が自身で金銭管理をできない場合は家族や保証人が行うことが原則で、もしくは社会福祉協議会が行っている生活支援サービスを活用するなどの方法を検討した方が良いでしょう。
「金銭管理サービスを利用したい」という場合でも、「全てお任せ」ではなく、通常の支払以外の臨時に必要な場合には家族(保証人)に確認してもらうと言った取り決めを行うこと、また家族(保証人)に対して三ヶ月に一度程度は、通帳のコピーをつけて、その収支について報告するなど、きちんとした体制が整っていることが絶対条件です。

安否確認と医療的ケア

ここに、合わせて記入されているのが、「安否確認」と「医療的ケア」の内容です。
高齢者住宅の介護と言えば、「食事介助」「排泄介助」「入浴介助」といった直接介助がイメージされますが、「安否確認」も中核となるサービスの一つです。
要介護高齢者は、身体機能が低下しているため居室内で転倒したり、心筋梗塞や脳梗塞などで急に具合が悪くなることもあります。また認知症高齢者は、ふらふらと外に出てしまうというリスクもあります。

その一方で「急変のリスクがあるから・・」といって、24時間365日付き添えるわけではありませんし、居室内にもカメラが設置され、24時間行動が監視されるような生活は誰も望まないでしょう。そのため「一日3回の食事時間帯に確認」「22時~6時までに三回確認する」といったように、事業所ごとに定期的な安否確認の方法が定められているのです。
この重要事項説明書は契約付属書類ですから、転倒事故や行方不明、脳梗塞などで急変などが発生した場合、「きちんと安否確認が行われていたのか」を判断するための資料にもなります。例えば、「居室内のトイレで転倒して亡くなっていた」というケースで、「食事時間帯に確認する」としていたのに気が付いたのがお昼近くになっていたということでは、安否確認がきちんと行われていないということになります。

ただし、実際には安否確認は一斉に、また一律の方法で行われるものではありません。
例えば、排せつ介助が必要な高齢者は、食事介助、排泄介助に合わせて安否確認が行われることになりますし、夜勤帯の安否確認の方法も、「スタッフが毎回部屋の中まで入ってきて異常がないか顔を見ていく」という方法もあれば、「ぐっすり眠れないので、そこまでしてほしくない」という人もいるでしょう。特に、要介護高齢者の安否確認の方法については、それぞれの要介護状態、個別ニーズに合わせて別途ケアプランの中で検討を行います。ここに書かれているのは、「介護保険内、月額費用内で無料で行う範囲の程度」だと考えれば良いでしょう。

もう一つは、医療的ケアの内容です。
これは、胃ろう、在宅酸素、鼻腔栄養、気管切開など、日常的に医療的ケア(医療行為)が必要な高齢者に対応できるか否かを示したものです。これは入居の受け入れ可否の判断だけでなく、入居後に医療的ケアが必要になった場合の対応力を示すものです。
この記入については、上記のように「状態を確認したうえで、入居できるかどうか個別に判断」としているところと、以下のように医療行為ごとに書かれている事業者に分かれます。

これを見ると、
「医療的ケアができる、できないときちんと書いてあるところはわかりやすい・・・」
「対応できる医療ケアが多いところは、看護体制が整っている・・・」
と考えてしまうかもしれませんが、そう単純な話ではありません。

それは、高齢者住宅で生活するには、胃ろう、在宅酸素の人はOKという話ではなく、「入居者の病状が安定していること」が大前提だからです。
原則して看護師以外は医療的ケア(医療行為)はできませんので、受け入れ可能な場合でも、「夜間などに医療的ケアが必要となる場合」は原則対応不可ですし、状態が安定している場合でも、「機械トラブルがあった場合はどうするのか…」「一時的に医療的ケアが必要になった場合はどうするのか…」をきちんと確認しておかなければなりません。これは「できる範囲で…」という曖昧なものではなく、命に関わる話ですし、安易に介護スタッフが行うと刑事罰に問われることになります。
「胃ろう、在宅酸素は受け入れOK」などと安易に書いているところは、そのリスクがわかっていないのです。

看護体制がきちんと整っているところ、医療行為についてきちんと整理して考えているところは、このような医療ケア毎の分類ではなく、「状態を確認させていただいた上で、入居可能か検討、相談させていただきます」と書かれています。そうでなければ、入居時だけでなく、途中で医療的ケアが必要になった場合に、「胃ろう、MRSAはOKって書いてあるじゃないか…」とトラブルになるからです。

胃ろう、人口肛門などの医療行為が必要で、有料老人ホームを探している人も多いでしょうが、その場合「書いてあるところはOK」ではなく、「胃ろう等で生活している人がいるのか」「状態をきちんと把握して、対応方法やリスク、急変時の対応ができているか」をきちんと説明してくれるところを選ぶべきです。「実際はいない、経験もない」「どんな処置が必要かもわからない」というところは、その他のサービスもその程度だということです。


高齢者住宅選びの根幹 重要事項説明書を読み解く

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  ⇒ 重要事項説明書 ③ ~建物設備の権利関係を読み解く~ 🔗
  ⇒ 重要事項説明書 ④ ~スタッフ数・勤務体制を読み解く~ 🔗
  ⇒ 重要事項説明書 ⑤ ~介護サービスの専門性を読み解く~ 🔗
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高齢者住宅選びの基本は「素人事業者を選ばない」こと

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