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【F009】 どちらを選ぶ ・・ 介護付か? 住宅型か? ①

「介護付」と「住宅型」は、含まれるサービス内容が基本的に違う。

「介護付」と「訪問介護付」は、対象となる介護・介助内容が違う。


 

「高齢者住宅」への入居を考える高齢者・家族の最大のニーズは、「介護不安の解消」です。
身体機能や適応力の低下した高齢者は、何度も住み替えることはできません。そのため、今すぐ介護が必要か否かに関わらず、介護が必要になっても、重度要介護状態になっても生活できる「終の棲家」であるというのが、多くの人が第一に挙げる基本条件です。
「介護付ですから、介護が必要になっても安心ですよ・・」
「住宅型ですが、訪問介護併設ですから、安心ですよ・・」
と聞くと、「内部で介護を受けるか、外部から受けるかの違いだな・・」「受けられるサービスはほとんど同じだな」と誤解しがちですが、この「介護付」と「住宅型」は、サービス内容も介護の内容も、まったく違うものです。

この介護保険制度の類型の違いは、介護システムの理解のために不可欠です。
2回にわたって、少し詳しく、その違いについて整理します。

 

~「介護付」「住宅型」のサービス提供責任の違い~

介護が必要になると、社会保険制度の一つである介護保険による介護サービスが受けられます。
高齢者住宅では、大きく分けて二つのタイプかあります。

一つは、その高齢者住宅が、特定施設入居者生活介護の指定を受けた高齢者住宅から、介護看護サービスを受けるというものです。この場合、介護サービスの提供者は高齢者住宅です。
この特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームが介護付有料老人ホームです。
その有料老人ホームが介護スタッフ、看護スタッフを直接雇用して、介護看護サービスを提供します。

もう一つが、自宅で介護サービスを受けるのと同じように、個別に訪問介護や通所介護などのサービス事業者と契約して、介護サービスを受けるというものです。介護サービスを提供するのは、外部の訪問介護のホームヘルパーや訪問看護師です。
このタイプの有料老人ホームが住宅型有料老人ホームです。
サ高住も特定施設入居者生活介護の指定を受けて「介護付サ高住」になることは可能ですが、現在のところ、ほとんどすべてのサ高住は「住宅型」です。

契約主体が違うということは、介護サービスの提供責任が違うということです。
介護付有料老人ホームの場合、介護サービスを提供する責任は、その有料老人ホームにあります。
介護看護スタッフの確保から、教育、転倒などの事故の予防など質の高い介護サービス提供を、入居者、家族に約束するのは高齢者住宅です。
これに対して、住宅型有料老人ホームやサ高住の場合、介護看護サービスを提供するのは、外部の訪問介護、訪問看護などのサービス事業者です。「訪問介護が併設されているので、介護が必要になっても安心ですよ」とセールスしていても、それは「近所に病院やコンビニがあるので便利ですよ・・」というのと同じレベルの話です。
サ高住や住宅型有料老人ホームは、「介護が必要になっても安心」「重度要介護状態になっても生活できる」と説明していても、それを約束しているわけではないのです。

 

~介護報酬に含まれるサービス内容の違い~

二つ目は、サービス内容の違いです。
最近は、住宅型、サ高住といっても、同一法人や関連法人で、訪問介護を建物内にテナントとして併設するところが増えています。
「一体的に提供しています」「介護付と同じです」とセールスする事業者もあります。
「それなら、介護付と同じで安心だ・・」と思うかもしれません。
ただ、「介護付」と「訪問介護付(併設)」は、介護報酬に含まれるサービス内容が全く違います。

それをまとめたのが、次の表です。

サービス管理というのは、簡単に言えばサービス全体を管理する「ホーム長」といった役職の管理者がいるかどうかです。その仕事は、全体のサービスを管理し、サービスの向上を図ることです。高齢者住宅内で事故やトラブルが発生した場合、また家族からのサービスに対する意見や苦情がある場合に対応するのも、管理者の仕事です。
介護付有料老人ホームはその介護報酬の中にサービス管理費用、管理者の人件費も含まれています。
住宅型有料老人ホームにも管理者はいますが、それは介護報酬に含まれていませんので、その人件費は「事務費」として全額、自己負担となります。
サ高住には設置義務がないため、「管理者」がいないところもあります。

ケアマネジメントというのは、介護保険制度の基礎となるサービスです。
要介護3といっても、要介護状態はそれぞれに違いますし、認知症の有無、病気の有無、その人の性格や希望によって、どんな生活をしたいのかは、それぞれ変わります。それぞれの要介護高齢者に、どのような介助が必要なのか、どうすれば安全に、快適に生活できるかを、一人一人考えるのがケアマネジメントです。このケアマネジメントを書面にしたものがケアプラン、その作成を入居者・家族の意見を聞いて支援するのがケアマネジャーです。
介護付有料老人ホームには、そのケアマネジャーの設置が義務付けられており、介護報酬の中にケアマネジャーの人件費も含まれています。
一方のサ高住や住宅型の場合は、外部のケアマネジャーと個別に契約します。

生活相談サービスも重要なサービスの一つです。
要介護状態になると必要になるのは「介護サービス」だけではありません。
家族との連絡・調整が必要ですし、家族が遠方にいる場合は、行政手続き、などの生活上の様々なサポートが必要となります。それを主になって行うのが生活相談員です。その他、レクレーションの支援、入居者の生活上の不満や悩みを聞くのも、大切な仕事の一つです。
介護付有料老人ホームでは生活相談員の設置が義務付けられており、介護報酬の対象となります。
住宅型有料老人ホームにも生活相談員がいますが、介護報酬に含まれていませんので、その人件費は「事務費」として全額、自己負担となります。サ高住にも、「生活相談サービス」の提供が義務付けられていますが、これは、高齢者住宅が一体的に提供するのではなく、個々人の選択で契約することになります。

 

~介護保険の対象となる介助の違い~

もう一つ、大きく違うのが介護報酬の対象となる介助の内容です。
要介護高齢者が安全に安心して高齢者住宅で生活するために、必要となる介助項目はたくさんあります。

「老人ホーム・高齢者住宅での介護」と言えば、食事介助や入浴介助をイメージする人が多いのですが、それだけではありません。
例えば、排泄にしても、「お腹の調子が悪い」などの日々の体調変化で頻回に排泄介助が必要となることはありますし(臨時のケア)、重度要介護状態になると、車いすの移乗や移動、また「ベッドから起こして・・」「テレビを点けて」といったごく短時間のケア(隙間のケア)の連続となります。
また、直接的な介助だけでなく、要介護状態の変化、体調の悪化などの状態把握や、転倒や食事中の誤嚥などの見守り、夜間の定期巡回といった「間接介助」、更には、入居者からのコール対応、急変時の緊急対応なども、生活を維持するために不可欠なものです。

しかし、特定施設入居者生活介護で介護スタッフが提供する介護サービスと、通常の訪問介護のホームヘルパーが提供する介護サービスでは、その算定対象が違ってきます。
下の表のように、特定施設入居者生活介護の場合、すべての介助項目が算定対象となります。
一方の、訪問介護の場合、間接介助や緊急対応、またすき間のケアなどは、対象外です。
仮に見守りなどを行っても介護報酬として請求はできません。
また、体調変化などで、臨時に排泄介助が必要になる場合(臨時のケア)でも、事前にケアマネジャーに連絡をして、ケアプランの変更が行われなければ、介護報酬は支払われません。

介護付有料老人ホームの介護スタッフと、訪問介護のホームヘルパーの働き方も全く違います。
介護付有料老人ホームでは、一人の介護スタッフが二人の要介護高齢者に食事の介助をしながら、もう一人の高齢者に声掛けをしながら、他の入居者に誤嚥や窒息がないか見守っています。排泄介助でも、Aさんの「オムツ介助」が終わり、Bさんからのコールがあればその介助に向かいます。
いつも、複数の高齢者に気配りしながら、複数の介助を掛け持ちしながら、働いているイメージです。

しかし、訪問介護の場合、このような「臨機応変」の介助はできません。
「6時~6時半まで、Aさんの排泄介助」の時間であれば、それ以外の入居者の介助をすることはできません。緊急コールが鳴っていても、駆け付けることもできません。それは、訪問介護には、原則として、事前に「介助時間、介助項目、介助対象」が定められたケアプランによる「マンツーマン」の介助しか認められていないからです。

なぜこのような違いがあるかと言えば、介護報酬の算定方法や考え方が根本的に違うからです。

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