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【ケース3】 生活保護受給者をクイモノにする高齢者住宅

生活保護受給の大叔父が高齢者住宅に入居。そこで見た生活保護をクイモノにする信じられないような不正と医療、介護費用の無駄遣い。こんなことしていて日本は大丈夫なの?・・・

高齢者・家族向け 連載 『高齢者住宅選びは、素人事業者を選ばないこと』 055


入居者・・・大叔父(80代前半)、自立歩行、要介護3?

私は、とある大学病院で働いている2年目の看護師です(小児科にいます)。
数年前に亡くなった母方祖母の弟にあたる大叔父が、熱射病で入院となり、そのまま一人暮らしは難しいためサ高住に入居することになりました。
大叔父は、一度結婚をしたことがあるそうなのですが、長い間祖母ともほぼ絶縁状態にあり、どのような人生を送ってきたのかさえもわかりません。生活保護を受けており、私たちも全く交流はないのですが、行政の方から入居にあたって保証人が必要になると言われ、金銭的に負担することはできないけれど、母は子供の頃に遊んでもらったこともあるとかで、入居にあたっての保証人になりました。

他には誰も身よりがなく訪問者もないため、可愛そうだということで母は3ヶ月に一度程度、私をドライバーにしてフルーツなどを手に高齢者住宅に行っていました。母によると、入居者の半分は生活保護受給の方だと聞いていましたが、まだ開設してから一年程度の新しいキレイな集合住宅でした。

最初に違和感を覚えたのは、大叔父はいつも併設されているデイサービスにいることです。
大叔父は、多少足腰は弱っているものの、ひとりですたすたと歩きますし、トイレも食事も入浴も一人でできます。また、母と普通に話もできますし、私が母の娘で看護師をしているということをわかっていて、あれこれと話かけてくるので認知症でもありません。
しかし、母から話を聞くと、自宅で生活しているときは介護保険を使っていなかった(申請もしていなかった)のが、サ高住に入ると要介護2になり、先日、ケアマネジャーから「要介護3にしてよいか」と連絡があったというのです。母からすれば、「よくわからないし、私が違うというものでもないので、どうぞ・・と答えた」とのことですが、それは医者が家族に、「胃がんだということにしてよいか・・」と聞くようなもので、全く意味不明です。

私たちが訪問すると、デイサービスから自分の部屋にすたすたと一人で戻ります。
デイサービスの利用者は、車いすなどの要介護状態の人が約半分、大叔父のようなほぼ自立の人が半分(大叔父より元気な人もいる)といったところでしょうか。
それとなく聞くと、「本当は部屋で寝ていたいけれど、日中は部屋ではなくデイサービスのベッドで寝ろと言われる」「デイサービスに行かないと昼食がでない」という話でした。30室あるサ高住で、入居者は20数名だと思いますが、確かに日中にはサ高住は閑散として人気がないため、ほぼすべての人がそのデイサービスに行っていることになります。

もう一つ驚いたのが、介護サービスだけでなく、医療も同じことが行われているということです。
大叔父の部屋には、糖尿病や高血圧、肝機能などの内科系の薬だけでなく、認知症の精神科の薬、眼科の目薬やシップなどの塗布薬やシップ薬、うがい薬まで、それぞれ別の診療所の名前の入った、低いタンスの上に乱雑に大量に残されていました。「しんどいことは何もない・・」「ちょっと腰が痛いときがある・・」という程度で、新しい入れ歯も「痛いから外している」と使っていませんし、生活保護で作った眼鏡も行方不明でどこにあるのかわかりません。

もし、本当に病気なのであれば、適切に服薬管理しないといけないため、訪問看護が受けられるはずですが、誰も管理をしないまま、無目的に診療や投薬だけが行われていることがわかります。本当に病気なのか、それだけの診療が必要なのかさえ疑わざるを得ません。部屋に来られたスタッフさんに聞いても「私は知らない、関係ない」の一点張りです。これも大叔父だけではなく、このサ高住に入っているほとんどの高齢者も同様のことが行われているのでしょう。

帰りの車の中で母と、「本当に無駄よね、ひどいね・・・」という話をするのですが、制度上はグレーゾーンですし、(本当は認知症でもない)大叔父の権利であり、サ高住やケアマネジャーはアドバイスするだけで、最終的に本人の意思で医療や介護を受けていると言われればそれまでです。また、母は保証人(死亡時の身元引受人)ですが、それは高齢者住宅だけです。本人が納得して受けている医療や介護に対して、「不要な医療は受けさせるな」「本当に要介護3なのか」と言うことはできませんし、「では退居してください・・ご家族でケアしてあげてください」と言われると、それもできません。

しかし、介護や医療費は全額生活保護から出されるために無料だからと言って、行き場のない高齢者を集めて、必要のない医療や介護を無理やり受けさせて利益を上げるという手法は明らかに不正ですし、医療や介護などの社会保障費の増加が問題となる中で、本当にこんな無駄な使い方をしていて良いはずがありません。また、このサ高住には、行政の福祉事務所から紹介されてきている人が多く、その費用は全国で数千億円になると知人に聞いて、またびっくりしました。

私は小児科にいるので、小児ガンや小児難病の子供やその御両親の大変さを見ているから、余計にそう思うのかもしれませんが、目の当たりにした高齢者医療・介護の闇に対して、また、それをわかっていながら利用、放置している行政にも強い怒りを覚えます。

【失敗の原因は何か・・どうすればよかったのか・・】

これは、高齢者住宅の「囲い込み」と呼ばれる不正の事案です。
この囲い込みとは何か、何が不正なのかについては、 「高齢者住宅の囲い込み」は何が問題なのか 🔗  で詳しく述べています。残念ながら多くのサ高住や住宅型有料老人ホームで同じことが行われているのが現実です。

生活保護受給者など低所得者を対象としているサ高住や無届施設などの高齢者住宅は、「行き場のない高齢者のためにやっている」と慈善的に行っているかのように振舞っていますが、利用者個人が負担する費用は安くても、通常の介護付有料老人ホームとは比較にならないほどの高い利益を上げています。
一般の路上生活者を生活保護受給者にしてその上前を撥ねるという貧困ビジネスが、暴力団などの反社会的組織の資金源として問題となることがありますが、それでも月額の生活保護費は10数万円ですから、そこから搾取するとしても一人あたり月に2~3万円程度です。しかし、このような生活保護の高齢者の場合、生活保護費だけでなく、医療制度や介護保険制度にまで拡大しますから、そこから不正に搾取される社会保障費は、一人当たり月額50万円を超えます。

最大の問題は、このような不正利用を国も自治体も、黙認しているということです。現行制度で見れば、適法ではありませんが、明確な不正・不法行為でもありません。グレーゾーンがどんどん拡大し、またその色彩がほぼブラックになっても、サ高住が倒産すれば行き場のない高齢者が発生するために、莫大な社会保障費が搾取されている現状にも目をつぶっているのです。自治体の中には、このような不正なサ高住に行き場のない高齢者を、福祉事務所のような公的な福祉機関が紹介するというところもあります。
高齢者住宅事業者、介護サービス事業者だけでなく、福祉用具・医療機関、診療所、更には行政機関までもが生活保護受給者にシロアリのようにたかっている構図がみえてくるでしょう。言うまでもなく、その社会保障費は現役世代の負担だけでなく子供や孫、曾孫世代が負担する大借金で賄われています。 通常の貧困ビジネスとは比較にならないほど、ひどい話なのです。

ただ、この問題には生活保護以外の「高齢者住宅選び」にも大切なヒントが隠れています。
それは、「生活保護受給者を対象としている高齢者住宅は、選んではいけない」ということです。
現在のサ高住の中には、生活保護受給者を対象としたり、また生活保護受給者を対象とした特別な価格設定を行っているところがあります。しかし、低所得者対策は、民間の高齢者住宅事業者の役割ではなく行政の仕事です。養護老人ホームなどのそのための施設も整備されています。
民間の高齢者住宅は慈善事業ではなく営利事業ですから、損失を前提とした低所得者への高齢者住宅事業はできません。このように生活保護受給者を対象とするということは、サ高住本体で損をしても、関連する介護や医療費を搾取して、利益を得ることを前提としているからです。

このようなサ高住は、生活保護受給者以外にも当たり前のように医療や介護の押し売りサービスが行われ、ほぼ入居者全員が「高額療養費の対象」ところもあります。
また、このような高齢者住宅は、経営者だけでなく働くケアマネジャーや介護スタッフも、コンプライアンスの意識が低いため、医療・介護サービスの質は最悪です。口では立派なことを言っていても「医療費・介護費の搾取の対象」としてみていないからです。上記のケースの場合、本人はまだ自立度が高いため、生活上の問題は発生していませんが、要介護状態が重くなれば、スタッフによる虐待や身体拘束、放置など悲惨な生活を余儀なくされることになります。

また、社会保障費がひっ迫する中で、このような不正なビジネスモデルがいつまでも続けられるはずがありません。 制度の締め付けが厳しくなれば、何のサポートもないまま、突然倒産、事業閉鎖で、放り出されることになります。
「生活保護受給者 可」という低所得者を対象とした高齢者住宅のビジネスモデルは、「囲い込み型 貧困ビジネス」であり、生活保護か否かに関わらず、絶対に選んではいけないのです。


「こんなはずでは・・・」 高齢者住宅選びに失敗した家族の声を聴く

  ⇒ 【F053】 高齢者住宅選びに失敗している家族に共通するパターン 🔗
  ⇒ 【ケースⅠ】 病院から紹介された有料老人ホームに入居したが 🔗
  ⇒ 【ケースⅡ】 「介護が必要になっても安心・快適」はイメージと正反対  🔗
  ⇒ 【ケースⅢ】 生活保護受給者をクイモノにする悪徳高齢者住宅 🔗
  ⇒ 【ケースⅣ】 高額の入居一時金を支払ったのに ~要介護対応の不備~  🔗
  ⇒ 【ケースⅤ】 高額の入居一時金を支払ったのに ~トラブル退居~ 🔗
  ⇒ 【ケースⅥ】 「協力病院」の医師に無理やり寝たきりにされた父  🔗
  ⇒ 【ケースⅦ】 不正を訴えても「自己責任でしょ・・」と無関心の役所🔗
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  ⇒ 【ケースⅨ】 意見や希望を上手く伝えられずにストレスに 🔗
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高齢者住宅選びの基本は「素人事業者を選ばない」こと

  ☞ ポイントとコツを知れば高齢者住宅選びは難しくない (6コラム)
  ☞ 「どっちを選ぶ?」 高齢者住宅選びの基礎知識 (10コラム)
  ☞ 「ほんとに安心・快適?」リスク管理に表れる事業者の質 (11コラム)
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