FAMILY

どちらを選ぶ ・・ 有料老人ホームか? サ高住か?

高齢者住宅選びにおいて、「有料老人ホームか、サ高住か」は意味がない。

ただ、現在の商品性の違い・サービス内容の違いを理解することは必要


 

最初に回答を言えば高齢者住宅選びにおいて、「有料老人ホームか」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)か」という議論にはほとんど意味がありません。
どちらを選ぶ・・特養ホームか? 高齢者住宅か?🔗で述べたように、特養ホームなどの福祉施設は、北海道から沖縄まで、どこでもサービス内容や価格はほぼ同じです(質は違います・・)。
これに対して、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、それぞれにサービス内容も価格帯も違います(もちろん質も違います)。
高齢者住宅は、「制度を選ぶのではなく、その商品内容・サービスの質を選ぶ」というのが基本です。

そもそも「有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」というのは、「厚労省に届け出るか」「国交省に登録するのか」という単なる所轄官庁の違いでしかありません。ですから、「有料老人ホームに届け出し、かつサ高住にも登録している」という高齢者住宅も、たくさんあります。逆に、同じ商品内容でも、届け出先・登録先によって「有料老人ホーム」と「サ高住」に分かれることになります。
「なぜ二つに分かれているの?」と聞かれれば、「縦割り行政の歪み」としか答えようがありません。

ただ、現行制度においては、いくつかの特徴があります。
その選択において注意すべきこと、知っておくべきことを整理します。

 

~有料老人ホームとサービス付高齢者向け住宅(サ高住)は何が違うのか~

有料老人ホームとサ高住の、制度上の最低基準の違いを一覧にしたのが次の表です。
大きく分けると、その違いは二つです。

一つは、建物設備基準です。
表にあるように、有料老人ホームは共用部基準に重点が置かれており、サ高住は居室内基準に重点が置かれています。ただ、始めから「サービス付き高齢者向け住宅」として建築されたものは、高齢者が生活しやすいように「食堂」「浴室」「防災設備」などの共用部も有料老人ホームと同じレベルのものが整備されています。一方の有料老人ホームの居室も、ほとんどは18㎡以上の居室で、それぞれの居室内に洗面、トイレなどが設置してあります。

しかし、「基準に合致しているからOK」というものではありません。
どちらの基準も、要介護高齢者の住まいの基準としては十分なものではないからです。
それぞれの最低基準を満たしているというだけでは、要介護状態になれば生活できません。
その選択にあたっては、「有料老人ホームか、サ高住か」ではなく、車いすなど要介護状態になっても生活しやすい建物設備なのかを確認することが必要です。

もう一つ、重要になるのが「指導監査体制」です。
高齢者や家族からみれば、有料老人ホームもサ高住も同じような制度に見えます。
しかし、事業者から見れば全く違います。
有料老人ホームの制度の目的は「入居者保護」です。そのため、その開設にあたっては事前の届け出が必要で、たくさんの資料を作って、自治体担当者からチェックや指導を受ける必要があります。

一方のサ高住は、「高齢者がアパートやマンションを探しやすくするための登録制度」からスタートしているため、一枚の登録用紙に記入すれば、誰でも簡単に開設することができます。
制度上の法律があるだけで、指導や監査体制も整っていません。
しかし、なぜかこのサ高住には、建設のための補助金や税制優遇策があります。
そのため、「高齢者住宅は儲かる」「土地の有効利用したい」と、高齢者住宅ビジネスや介護サービス事業を全く理解しないまま、参入してきた事業者が多いのです。(参照 サ高住が本当に危ない理由)

もちろん、「サ高住だから素人事業者」と言う訳ではありません。
有料老人ホームでも、その大手事業者でも素人事業者はたくさんいます。
ただ、制度上、サ高住は「開設がより簡単だ」「補助金が出る」と安易に参入してきた人がより多い、また指導や監査体制が整っていないということを理解しなければなりません。
その選択においては、より厳しい目でチェックする必要があるのです。

 

~一般的な有料老人ホームとサ高住の商品性の違い~

もう一つは、商品性の違いです。
三つのポイントを挙げます。

 

① 介護システム
有料老人ホームの介護システムは、介護付と住宅型に分かれています。
介護付有料老人ホームは、特定施設入居者生活介護の指定を受け、その有料老人ホームが介護サービスの提供事業者となって、介護サービスを提供するものです。
イメージとしては、特別養護老人ホームと同じ形態です。
これに対して、住宅型有料老人ホームは、有料老人ホームが介護サービスを提供するのではなく、入居者それぞれが外部の訪問介護や通所介護などの事業者と契約して、介護看護サービスを受けるというものです。自宅で介護を受けるのと同じタイプです。
サ高住も、特定施設入居者生活介護の指定を受けて、介護付サ高住になることはできますが、そのほとんどは「住宅型」、つまり外部の訪問介護や通所介護からサービスを受ける方式です。

② 価格設定
サ高住は、一般の賃貸マンションと同じように、家賃の支払いは「月払い」というのが基本です。
これに対して、有料老人ホームは、入居一時金をとっているところが多いのが特徴です。
サ高住でも、「敷金や保証金などの一時金は必要だよね・・」と思う人もいるかもしれませんが、有料老人ホームの入居一時金は、一般の敷金や保証金とは違う、特殊な価格設定方法です。
その違いは高齢者住宅を理解する上でとても重要です。

③ 契約形態
もう一つの違いは、それぞれのサービスの契約主体です。
高齢者住宅と、一般の賃貸マンションや賃貸アパートの最大の違いは、介護が必要になっても生活できるように「食事」「介護看護」などの様々な生活支援サービスが、提供されることにあります。
ただ、高齢者住宅によって、サービスの提供主体はそれぞれに違います。

述べたように介護付有料老人ホームの場合、介護サービスを提供するのはその有料老人ホームですが、住宅型有料老人ホームやサ高住は、外部の訪問介護・訪問看護などの事業者からサービスを受けます。
食事サービスは、有料老人ホームは、介護付、住宅型に関わらず、その有料老人ホームの入居契約と一体的になっていますが、サ高住の場合は、外部のレストランや給食業者と別契約となっているところが多いようです。
生活相談サービスも、有料老人ホームの場合は、ほぼ一体的に提供されますが、サ高住の場合は、別途、外部事業者との個別契約というところもあります。

契約主体が違えば、そのサービス提供責任が違いますし、月額費用に含まれるサービス内容も違います。
上記の例で言えば、介護付有料老人ホームで月額費用には、介護保険の一割負担や食費も含まれていますが、住宅型の場合、含まれるのは食費だけですし、サ高住の月額費用には介護保険の一割負担も食費も含まれていません。

 

以上、3つのポイントを挙げました。
実は、高齢者住宅という商品・サービスを見る上で、この3つのポイントが非常に重要なのです。
次からは、それぞれのポイントについて、詳しく説明します。

NEXT  ☞  どちらを選ぶ ・・ 介護付きか? 住宅型か? ①

 

 

 

 

 

関連記事

  1. どちらを選ぶ ・・ 入居一時金方式? 月額払い?
  2. 入居後のリスク・トラブルを理解する
  3. どちらを選ぶ ・・ 介護付か? 住宅型か? ②
  4. どちらを選ぶ ・・ 住み慣れた場所? 家族の近く?
  5. 時間と心に余裕をつくる ~失敗する理由は焦りと不安~
  6. 喧嘩、いじめ、トラブルの対応から見える 事業者の質
  7. 高齢者住宅 生活上の事故の原因と責任
  8. どちらを選ぶ ・・ 家族で探す? 紹介業者に頼む?

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

TOPIX

NEWS & MEDIA

WARNING

FAMILY

RISK-MANAGE

PLANNING

PAGE TOP