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こんな介護サービス事業者で働いてはいけない ~採用面接からわかること~

採用・面接は、労働者にとっても事業者にとっても、人生や事業を左右する真剣勝負。採用面接で「過去や経験を聞かれるのか…」「あなたの未来を聞かれるか…」、あなたの目標に向かうキャリアップをサポートできるだけの教育・研修プログラムがシステム化されているか

介護スタッフ向け 連 載 『市場価値の高い介護のプロになりたい人へ』

こんな介護サービス事業者で働いてはいけない・・・
その12は、採用面接時のチェックポイントです。

「介護業界は、少子化によって労働者有利な売り手市場が続く…」
「介護労働市場は、景気動向の変化によって、振れ幅が大きい…」
という話を、わたしも他のコラムで書いていますが、これは「介護業界は…」「労働市場は…」という専門用語でいえば大きな枠組みのマクロ経済的な視点であり、ミクロ経済、各サービス事業者・各労働者の視点で見れば、それほど重要なものではありません。

「景気か悪くなれば介護の仕事をする人が増える」というのは、「他の仕事がないから介護の仕事でもしようか…」という腰掛介護の人が増える、劣悪な環境・素人事業者でも働く人が増えるというだけで、「介護のプロになりたい」と願う人にとっては、あまり関係のない話です。

これからの介護労働のキーワードは「二極化」です。
同じ地域であっても、介護のプロになりたいという人が集まるプロの事業者と、劣悪な労働環境の中で「介護の仕事なんて最悪だ…」「あの入居者は手がかかる、あの家族はクレーマーだ」と文句を言いながら、手抜き介護が蔓延している素人事業者に分かれるということです。「介護の仕事は、どこでやっても同じ」と言うのは間違いだと述べましたが、それは二極化によって、ますますその格差は大きくなっていきます。
人材確保できないのを「介護報酬が低いのが原因だ」「政府の責任だ」と、能力不足を棚に上げて責任転換している経営者は、その事業のレベルは「推して知るべし…」ということになります。

もう一つ重要なことは、採用・面接は、労働者にとっても事業者にとっても、人生や事業を左右する真剣勝負だということです。「他の仕事がないから介護の仕事でもしようか…」という人が目に付くのは、質問をしても話をしていても、真剣さが足りないからです。
これは、採用側を見ていても感じることがあります。
わたしは、介護就職セミナーに出かけて、求職者のふりをして専門学校や福祉系大学の介護学生たちの話に耳をそばだてたり、事業者が説明や面接をしたりするのを見るのが好きです。
いまでも、偉そうに上から目線で、ふんぞり返った施設長や事務長が「面接をしてやっている」と言わんばかりのとこもありますが、それはその本人の責任ではなく、その事業者・経営者が採用に対する真剣さが足りない、事業をやる気がないということです。
「どこでも欲しがるような優秀な人材、やる気のある人材は、どこでも欲しい…」
「プロの介護サービス事業者には、誰でも入れるわけではない…」
それは、売り手市場とか、買い手市場とか、人材不足とか、あまり関係ないのです。

面接で「過去や経験を聞かれるのか…」「あなたの未来を聞かれるか…」

介護業界の場合、書類選考や筆記試験はありません。採用面接は、エントリーシートや履歴書をもとに、「事業者からの質問にどう答えるのか」と「こちらから質問することに事業者がどう答えるのか」の二つの項目に分かれます。

一つ目は、相手方の質問です。
前々回のコラムで、求人広告に「即戦力、介護経験者優遇します」と書いてあるところはやめた方が良いと述べましたが、これは採用面接においても同じです。
大卒か短大卒か専門学校卒か、資格の有無やこれまでの介護経験やその年数、どのような仕事をしていたのか、どこで働いていたのか、前事業所でどのような役職だったのか…と聞かれるのは、その人の過去や経験値、実績に重点を置いて採用しているということになります。

逆に、「あなたはどのような介護をしたいのか」「将来、どのようになっていきたいのか…」と未来のことを重点的に聞いてくれるところもあります。
「認知症介護を極めたい。認知症ケアのプロフェッショナルになりたい…」
「マネジメント能力を高めて、将来はデイサービスを起業したいと考えている…」
「介護の現場を十分に勉強してから、ケアマネジャーや生活相談員になりたい」
「早く昇進して、管理者や施設長になって、自分の理想とする介護を実践したい」
「社会福祉士になって、困難ケースがサポートできる福祉の相談員になりたい」
「地域包括ケアを勉強して、自分の故郷を介護力ナンバーワンの市にしたい…」
あなたが介護のプロになりたいのであれば、将来どうなりたいのか目的や夢があるでしょう。
もちろん、これは「100かゼロか」ではなく、バランスの問題です。どちらが、あなたの夢をかなえてくれる事業者か否か、プロの事業者か否かを解説するまでもないでしょう。

その事業者はあなたを介護のプロとしてキャリアアップさせてくれるのか…

もう一つ、大切なのは求職者側からの質問です。
面接では「あなたから何かお聞きになりたいことはありますか?」と問われます(聞かれない場合は、そのまま引き下がって、合格通知が来てもお断りしましょう…)。
わからないこと、疑問に思うことは何でも質問すれば良いと思いますが、ここで確認したいのは、あなたが介護のプロとしての目標・夢を達成するために、その事業者がどのような新人教育・キャリアアップの研修体制を構築しているのか…です。
多くの事業者で「スタッフ教育に力を入れている」と言いますが、実際に話を聞くと「先輩スタッフがついて、丁寧に教えます…」という程度のとこもあります。それは「プロの職員教育・人材育成」とは程遠いもので、二・三日で教育は終わるということですし、また、付いた先輩によって教える内容が違うことになり、事業者としての教育プログラムやノウハウはゼロです。

教育や研修に力を入れているか否かは、その説明方法によってわかります。
それは新人教育・キャリアアップ研修がシステム化されているか、人事評価と連動しているか…です。

例えば、あなたが「介護の現場を十分に勉強してから、ケアマネジャーや生活相談員になりたい」と思っている、またはそう答えたとしましょう。「介護スタッフからケアマネジャーになる人もいる…」というのはシステム化されていない事業者であり、逆に、「入職後、介護スタッフとして5年経過すれば、生活相談員・ケアマネジャーへの移動願いをだせる」「そのために必要な資格・経験・実務は…」と説明できる事業者は、教育体制がシステム化され、人事制度と連動しているということです。

言い換えれば、それはあなたの努力や目標が、一定の評価のもとで知識・技術・ノウハウとして積み重ねられるということであり、それは昇進や昇給、人事異動によって可視化できるということです。


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こんな介護サービス事業者で働いてはいけない

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