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地域ケアネットワークシステムのアプリケーションは「クラウド型」


「地域包括ケア=地域ケアネットワーク」と言われながら、その実務的なコンピューターソフト・アプリケーションの開発が進まなかったのは何故か。地域包括ケアシステムの土台となる「地域ケアネットワーク」の構築は、これまでのインストール型・ホームページ型から「クラウド型」へ・・・

【特 集】 地域包括ケアの土台となる地域ケアネットワークを構築する 003 (全9回)


福祉機器展やバリアフリー展などの、介護関連の展示会に行くと、「地域包括ケアシステム推進・・」と銘打ったパソコンやスマホのソフト・アプリケーションが並んでいます。ただ、そのほとんどは、ここまで述べてきた事業者間の連携システムである「地域ケアネットワーク」ではなく、利用者情報を各サービス事業者で共有しようという「利用者情報共有システム」です。

「地域ケアネットワーク」と「利用者情報共有システム」の違い

「利用者情報共有システム」は、ケアマネジャー、訪問介護、通所介護、訪問看護、訪問診療など複数のサービスを利用している利用者の情報を、事業者間で共有しようというものです。イメージとしては、介護医療従事者専用の「LINE」のようなものだといってよいでしょう。
繰り返し述べているように、高齢者介護の基本は「チームケア」です。特に、独居の重度要介護・認知症高齢者の場合、月曜日のデイサービス利用で介護スタッフが気付いた「少し熱っぽい」「腰の痛みを訴えている」といった情報を、次の訪問看護や訪問診療につないでいく必要があります。また、次の訪問診療で「眠剤が変更になった」「痛み止め服用時にはふらつきに注意」と言った情報を、適切に訪問介護や通所介護に伝えていかなければ、転倒事故の原因にもなります。

しかし、今でも、「ノートを置いて各担当者が気になったことをノートに書いておく」「ケアマネジャーに電話して、そこから伝達してもらう」といったアナログの方法が中心で、継続的・システム的な連携・連絡体制が構築、蓄積できているわけではありません。「週一回の訪問介護」「二週に一回の訪問診療」の場合、そのノートを読むまで利用者の変化が分からないため、訪問時には状態が悪化している・・・ということにもなりかねません。利用者情報も、リアルタイムでの情報連携・連絡システム」が必要であることは言うまでもありません。

ただ、この「利用者情報共有システム」も、一般に普及しているわけではありません。
それは、その地域のすべての事業者が一斉に導入しないと意味がないからです。このシステムが効果的に稼働するためには、利用者Aさんのサービスを行っているケアマネジャー、訪問介護、訪問看護、通所介護、訪問診療など、すべての事業者が同一の連絡システムを導入しなければなりません。また、Aさんについてはすべての事業者が同一の情報共有システムを導入したとしても、他の利用者に波及しなければ、これまでの電話、FAX、メールに、新情報共有システムが加わり、連絡手段が複雑化するだけです。

もう一つは、セキュリティの問題です。
要介護高齢者やその家族の介護情報、医療情報は、非常にコアな個人情報です。「認知症高齢者の生活情報」「訪問時間帯の情報」が犯罪などに悪用されると大変なことになります。ログインのパスワードで管理するとしても、たくさんの介護スタッフ、ヘルパー、看護師が書き込みや閲覧しますから、「情報がどこから漏れたかわからない」ということでは困ります。「Aさんの担当のスタッフはAさんの情報にしかアクセスできない」「書き込みと読み込みは別にする」といったアクセス権限を設定することは可能ですが、すべてを事業所に任せることは危険ですし、管理者がヘルパーの変更や入れ替えに即応しようとすれば大変な手間がかかります。そのため、なかなか導入が進まないのです。


「地域ケアネットワーク」のアプリケーションはクラウド型へ

実は、これは「利用者情報共有システム」だけの問題ではありません。ここまで述べてきた地域包括ケアシステムの土台である「地域ケアネットワーク」も同じです。「地域包括ケア=地域ケアネットワーク」と言われながら、その実務的なコンピューターソフト・アプリケーションの作成が進まなかった理由は、4つあります。


例えば、報酬計算や利用者管理などに使われている「インストール型」のソフト。
インストール型は、報酬計算や利用者管理、ケアプラン作成など決まった定型作業には適しています。ただ、その性格上、それぞれの地域ニーズに沿ってプログラムすることは難しく、途中変更や新規事業者の途中参入にも迅速に対応することができません。また、利用するすべてのパソコン端末にインストールしなければならず、かつ事業者の新規導入が数十万円~数百万円と高額なものとなるため、居宅介護サービス事業所や小規模の訪問介護、通所介護、訪問看護など、すべての事業所が導入することができません。

もう一つの「ホームページ型」にも限界があります。
ホームページ型の場合、各介護サービス事業者の負担はありません。最近では、自治体でも、域内の介護サービス事業者に向けた専用のホームページを作成し、中にはショートステイやデイサービスなどの空き情報を閲覧できるようにしているところがあります。
しかし、ホームページ上の情報を変更するためにはシステム管理者への依頼が必要となることから、「空き情報は数か月前と同じ」「情報が最新でないため、変更も閲覧も減っていく」ということになります。また、一方的な発信に留まるため、研修会やセミナーの情報を誰が閲覧したのか確認することができませんし、申し込みの受付もできません。そのため、電話やFAX、メールなどで別途、申し込みや確認の作業が必要となり、事務局の手間が増えるだけです。その結果、事業者専用のホームページを開設しても、アクセス数は月に数人~十数人程度・・・という寂しい状態になってしまうのです。

これらの「インストール型」「ホームページ型」に変わって、新しく登場してきたのが「クラウド型」と呼ばれる、クラウドコンピューティングを使ったアプリケーションです。
それは、データやアプリケーションがそれぞれのパソコンの中にあるのでなく、インターネットで繋がった「クラウド」の中にあるというもので、この10年の間に急速に進化してきました。私たちが現在作成している、「KaIT」という地域ケアネットワークも、この「クラウド型」です。


「インストール型」「ホームページ型」と比較し、その特徴を整理したものが、上記の図です。
「インストール型」のような画一的なプログラムでありませんから、地域特性・地域ニーズ・情報ルールに沿った個別のプログラムが可能で、事業者数の増加や情報ルール改正など、ニーズの変化に合わせて変更することができます。また、各事業者の導入費用が数万円、月額利用料が数千円程度※と、すべての事業者が導入しやすい価格設定です。
また、「ホームページ型」とも違い、行政機関、各種団体、各サービス事業者などの相互・マルチな情報発信・伝達が可能となり、「サービス空き情報」「感染症の発生」などリアルタイムの情報を得ることができます。研修会や勉強会についても、「出席」「欠席」「保留」などの返信・管理・集計も可能です。

地域包括ケアシステムの土台となる「地域ケアネットワーク」の構築は、このクラウド型を中心に進むことになります。

※ あくまでもKaITの価格設定例(基本プログラム)です。
※ 価格は事業者数・プログラム内容・導入者(管理者)によって変化します。

※ 地域ケアネットワークシステム KaIT に関するご質問・お問い合わせは こちらへ>


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