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「クラウド型」地域ケアネットワークの特徴とメリットを理解する


地域包括ケアシステムの土台となる地域ケアネットワークは、従来の「インストール型」「ホームページ型」ではなく、インターネット上のクラウドコンピューティングを使った「クラウド型」アプリケーションが中心となる。その特徴やメリットについて、3つのポイントを整理する

【特 集】 地域包括ケアの土台となる地域ケアネットワークを構築する 004  (全9回)


これまでも、効率的・効果的な地域包括ケアシステムを整備するためには、その土台となる「地域ケアネットワーク」の構築が不可欠だと言われてきました。
しかし、従来の「インストール型」のアプリケーションや「ホームページ型」では、一方的な情報発信しかできないことや導入費用が高額であること、また地域特性・地域ニーズに沿ったプログラムの限界などから、地域全体を網羅する包括的・有機的ネットワークの構築は進んできませんでした。


これに代わって登場しているのが、インターネット上の「クラウドコンピューティング」を使ったアプリケーションです。地域包括ケアシステムの土台となる地域ケアネットワークはこの「クラウド型」を中心に発達することになります。
まずは、その特徴とメリットを見ていきます。


① 独自性の高いアプリケーションの構築

一つは、個別の情報ルールに基づく、独自性の高いアプリケーションの構築です。
地域包括システムは、それぞれの自治体が地域特性・介護ニーズを基礎として策定・構築するものです。要介護高齢者の数や割合、活用できる人材・財源などの社会資源は、自治体によってバラツキがありますから、人口規模、高齢化率が同程度だからといって、他の自治体の「先進事例」をそのまま導入することはできません。

それは、地域ケアネットワークにも当てはまります。ネットワークの要員である介護サービス事業所の数は違いますし、福祉系事業所、医療系事業所、営利法人による事業所などに分かれています。それぞれの自治体が中心となって情報発信、情報共有、情報管理のルールを策定するとともに、地域ニーズ、事業所数、事業種別など地域の特性に合わせた独自のネットワークを構築しなければなりません。そのためには、これまでのようなインストール型のプログラムではなく、情報ルールの策定からスタートし、地域特性に合わせて作りこんでいく「ONLY ONE」のアプリケーションが必要です。

このクラウド型のアプリケーションは、それぞれの自治体の地域特性や地域ニーズを土台として「情報発信・情報共有・情報共有」の情報ルールに基づいて、個別に作成します。



② 包括的ネットワークとしての機能

二つ目は、実務的・包括的ネットワークとしての機能です。
クラウド型のアプリケーションは、インストール型と違い、インターネットがつながっているパソコンやスマートホンがあれば、どこからでもアクセスすることができることができます。
そのため、参加事業者の増加や地域エリアの拡大にも迅速に対応することが可能ですし、情報発信ルール、アクセス権限に基づいて、行政だけでなく、各サービス事業者や業界団体からも自由に発信することができます。その機能を使えば「感染症発生」「サービスの停止」といった早急に周知が必要な情報の発信・共有だけでなく、「ショートステイの空き情報」「訪問介護の対応可能時間」といったケアマネ業務の支援、マッチング機能の向上など、介護サービスの効率的・効果的な運用が可能となります。
更に、発信した情報に対して「既読・未読」が把握できますし、研修会への「出席」「欠席」「保留」などの返信・確認・集計も可能です。



③ セキュリティ・価格設定

この「地域ケアネットワーク」で扱うのは、個人情報ではなく、企業間の情報、行政からの情報ですから、過度なセキュリティ対策は必要ありません。ただし、ネットワークに関係のない第三者からのアクセスを阻んだり、ハッキングによるサイト荒らしから守るための基本的なシステム管理は必要です。情報の錯綜や過誤を避けるために、サービス事業者ごとに情報発信できる端末を規制したり、誰が発信したのかがわかるような機能を付加することができます。

また、従来のインストール型のパソコンソフトとは違い、それぞれの情報ルールに沿った個別プログラムですから、「高額で何でもできるけれど、実際に使用するのはその機能の一部だけ」ということにはなりません。事業所数やプログラム内容にもよりますが、基本的なプログラムであれば、初期費用は事業所あたり数万円、管理費を含めた月額利用料も数千円程度での対応が可能です。自治体や団体が中心となって導入する場合は、初期費用は自治体等が予算化、拠出するなどの措置をとることもできますし、域内の介護関連企業の広告を入れることによって、各介護サービス事業者の費用負担を軽減することもできます。



以上、3つのポイントからクラウドコンピューティングを使った「地域ケアネットワーク」のアプリケーションの特徴を述べました。
今後、地域ケアネットワークの構築は、この「クラウド型」を中心に進むことになると考えています。
ただ、これらは「クラウド型」のアプリケーションすべてがそうだというわけではなく、あくまでも私たちが作成している「KaIT版」の中で検討していることです。「クラウド型であればOK」というものではありませんし、独自のシステムを構築するのですから、「コンピュータープログラムの会社に任せておけば何か提案してくるだろう…」というものでもありません。

また、このアプリケーションは、一度作成すればそれで終わりというわけではありません。モニタリングを通じて「事業者情報の機能を追加できないか」「マッチング機能を強化したい」といった要望に応じて機能を追加したり、情報ルールの変更によってバージョンアップしていかなければなりません。
地域包括ケアシステムと地域ケアネットワークは一体的なものであり、ケアシステムの推進と共にケアネットワークも進化していくのです。

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