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高齢者住宅選び、誰もがみんな初めての経験

高齢者住宅選びを進めると、高齢者住宅のサービスの質が見えてくる。

高齢者住宅選びは、その「過程」こそが重要。


 

高齢者住宅選びは、ほとんどの高齢者、家族にとって初めての経験です。
ケアマネジャーや介護福祉士で、実際に高齢者住宅や介護保険施設で働いているという人以外は、
「施設の特養ホームよりも有料老人ホームの方が高い」
「介護付というくらいだから、介護がついているのだろう・・」
という程度の知識で、ほとんどゼロからのスタートだといって良いでしょう。

それが当然なのです。
テレビや新聞などでも、高齢者住宅についての記事や特集が増えてきましたが、半分くらいは間違っています。「介護施設の課題について・・」「サ高住の課題について・・」と取材に来られる記者の方は多いのですが、「あなたの言う介護施設って何ですか?」「有料老人ホームとサ高住って何が違うの?」と逆に質問をして、きちんと正確に答えられる人は、ほとんどいません。大手新聞でも明らかに制度の内容がごちゃごちゃになっている記事がたくさんありますし、福祉系の大学教授や識者と呼ばれる人の中にもそんな人がたくさんいます。
よくわからないからこそ、高齢者住宅選びは、その選ぶ過程こそが重要なのです。
それは、高齢者住宅を探す中で、たくさんのことがわかってくるからです。

 

~これからの生活について、しっかりと話し合う~

まず、重要なことは、家族間でのコンセンサスです。
高齢者介護は、家族の間、子供の間でも、感情的になりやすい問題です。特に、高齢者住宅への入居は、年を取ってから生活の基盤が移るという大きな選択、決断です。
これまで通り自宅で生活し続けることが難しいとわかっていても、本人が入居を拒否している、家族や子供の間で意見が分かれるといったケースは少なくありません。不安や心残りを押し殺して、無理に説得したり、強引に話を進めても、入居者だけでなく、家族のためにもなりません。家族間で諍いとなったり、その後長い間後悔したりと、禍根を残すことになります。
だからこそ、これを機会に介護問題だけでなく、家族それぞれの役割やお金の問題、将来の相続問題なども含め、これからの生活について、じっくりと話し合うことが必要なのです。
高齢者住宅への「今すぐの入居」だけが、唯一の解決策ではありません。「とりあえず」「仕方ない」と選ぶのではなく、未来を見据えた「ベストな選択」をすべきです。

~できるだけ多くの高齢者住宅を比較・検討する~

二つ目は、できるだけたくさんの高齢者住宅を比較・検討することです。
高齢者住宅は、バリアフリーの「住宅サービス」と、介護や食事などの「生活支援サービス」の複合商品です。サービス・価格ともに多様化していますが、一つ一つ見ていけば、その商品自体はそれほど複雑で、難しいものではありません。
地域にもよりますが、有料老人ホーム、サ高住、介護付、住宅型など、種別の違う5社~10社の高齢者住宅のパンフレットを取り寄せて比較・検討すれば、その対象となる地域で運営している、同程度の価格設定の高齢者住宅の全体像をつかむことができます。
パンフレットを見ながら、たくさんの事業者を比較すれば、「AホームとBホームは入居一時金の償却方法が違うな!」「同じ介護付でもスタッフの数が違うな!」「このサ高住の月額費用は安いけど、介護サービスも食事サービスも別料金か!」など、サービス内容や価格設定の方法が違うということがわかってきます。

~入居後の生活をきちんとイメージする~

三点目は、入居後の生活をイメージすることです。
高齢者住宅の見学に行くと、その建物や設備の豪華さに驚き、営業マンのセールストークにのまれてしまう人がいます。しかし、特に要介護高齢者の場合、高齢者住宅で快適に生活するためには、建物の新しさや仕様の豪華さよりも、その身体機能や日常生活動作(ADL)に合わせた「移動のしやすさ」「使いやすさ」が、より重要になってきます。
また、家族が訪問しやすいか、バス停や駅からの距離、徒歩でどのくらいかかるのかといったことも、選択の重要なポイントですし、「心臓病、糖尿病」などの疾病を抱えている場合は、それにどのように対応してくれるのかも、チェックしなければなりません。
高齢者住宅は、これから5年、10年と暮らす生活の場です。金銭面も含め、「実際に入居した後」のことをイメージし、より具体性をもって検討することが必要です。

~疑問は納得するまで確認する~

「親父は頑固で、他の入居者とのトラブルが心配」「母は引っ込み思案で、溶け込めるか不安」「お酒やタバコは……」など、個人的な悩みや心配はたくさんあります。初めて見学する場合「個人的なことを聞いても・・」と尻込みする人が多いのですが、この「不安への質問」がとても重要なのです。

例えば、「母は家で何度も転倒しているので、それが心配」だとしましょう。
高齢者住宅に入ったからといって、転倒のリスクがゼロになるわけではありません。
しかし、事故の発生予防や拡大予防のノウハウは、事業者によって大きく違います。
「どのような事故があるのか」「事故を減らすためにどのような対策を採っているか」「被害の拡大を防ぐためにどのような取り組みをしているのか」などについて、対象となる入居希望者の身体状況から類推して、事例やケースを挙げてわかりやすく説明できるところは、介護のノウハウやリスク管理の経験があります。
逆に、「介護スタッフが常駐していますから安心」「事故ゼロを目指しています」「細かいことは入居後に・・」などと、曖昧な説明しかできないところは、介護サービスのノウハウに乏しく、予防対策にも根拠がありません。

「父はタバコが好きなのですが、大丈夫でしょうか・・」という質問も同様です。
タバコは、お酒と違い、本人の嗜好だけでなく、火の不始末からの火災のリスクがでてきます。
最近では「受動喫煙」による健康被害の問題もあり、他の入居者の生活にも影響を与える問題です。
だからと言って、「タバコは全面禁止」ということになれば、本人の楽しみを奪うことになります。
喫煙は対応の難しい課題の一つですが、プロの事業者は「他の入居者のいないスタッフルームの前で吸ってもらう」「居室では火災のリスクがあるので禁止」など、一定のルールを定めています。
「施設ではなく個人の自宅・住居だからOK」というところもありますが、本人はそれで良くても、他の入居者は困ります。要介護高齢者が集まって生活しているのですから、万一、夜間にタバコの不始末で火災になれば、多くの人が逃げ遅れて大惨事となります。どちらが高齢者の生活や火災のリスクをしっかりと考えているか、そのノウハウがあるかわかるでしょう。
このように、それぞれの家族の不安や対応の難しい課題に対して、どのように答えるかで、その高齢者住宅の経営体質やノウハウ、誠意を読み取ることができるのです。

いくつかの高齢者住宅を比較して、見学を重ねて、その管理者や担当者に質問をすると、その回答から「スタッフ教育が行き届いているな」「口先だけでいい加減なことを言っているな」など、事業者のノウハウの差、サービスの質、高齢者住宅の雰囲気というものが見えてきます。

プロの事業者は、「疑問や不安」をたくさん質問してほしいのです。そうすれば「どのようなことに困っているのか」「どのような高齢者、家族なのか」がわかるからです。
「立て板に水」の一方的な説明だけで、個別の相談や質問ができないような雰囲気のところは論外です。

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