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高齢者住宅選びは、きちんと手順を踏んで

高齢者住宅選びは、事前準備をせずに見学しても、ほとんど意味がない

「情報収集」して「横断比較」をすれば、見学前にたくさんのことがわかる


 

高齢者住宅選びは、ほとんどの人にとって初めての経験ですから、いざ始めると、どこから手をつけていいのかわからないという人も多いでしょう。時間をかけてじっくりと探したいと思う反面、段取り良く、漏れがないようにしたいものです。
ここでは、高齢者住宅選びの流れとポイントを整理します。

 

~基礎的な知識を得ること~

まず一つは、基礎的な知識を得ることです。
高齢者住宅は、一般の賃貸住宅ではなく「高齢者専用 生活支援サービス付き住宅」です。介護が必要になったときに、どのような介護が受けられるのかを理解するには、介護保険制度の基礎知識が必要です。また「終身利用権付き入居一時金」といった、有料老人ホームに特有の価格設定も注意が必要です。

制度以上に重要なのが、リスクの理解です。
高齢者住宅は「安心・快適」というイメージですが、ニュースを見てもわかるように、転倒や溺水などの事故、火災や自然災害、感染症や食中毒の発生、入居者同士の人間関係トラブル、利用料の値上げ、事業者の倒産など、様々なリスクがあります。プロの事業者と素人事業者の最大の違いは、これらのリスクをしっかりと理解し、最大限の予防策をとっているか否かで決まります。それを見分けるには、入居者、家族も、「入居後に、どのようなリスクがあるのか」をしっかり理解しておく必要があります。

このコラムは、まだスタートしたばかりですから、お急ぎの方は高齢者住宅選びの書籍なども参考にされると良いでしょう。

関 連 書 籍 (拙 著) 
〇 家族のための高齢者住宅・老人ホーム基礎講座 (花伝社) 🔗
〇 老人ホーム大倒産時代の備え方 (扶桑社) 🔗 

 

~要介護状態、資産など現在の状況を把握する~

高齢者住宅を探し始める前に、もう一つ重要になるのが本人の状態・状況の把握です。
高齢者住宅は、価格・サービスともに多様化しています。高齢者住宅選びは、様々な商品の中から、それぞれの高齢者の生活、家族の希望に最も近い価格・サービスが提供されている事業者を選ぶ作業だといって良いでしょう。

一つは、要介護状態です。
要介護認定を受けている人は、「母は要介護2です」と答えますが、要介護2といっても、要介護状態はそれぞれに違います。体の麻痺がある場合、それは左右どちらなのか、トイレは一人で行けるのか、移動は車いすを利用しているか、入浴はどうしているのか・・など、きちんと把握しておかなければ、入居後に「車いすではスイッチに届きにくい」「居室のドアが開けにくい」など、様々な問題がでてきます。「親のことだから・・」とわかっているつもりでも、別居中や入院中の場合、変化している可能性がありますから、注意が必要です。

金銭的な状況の把握も重要です。
「どのくらいの預金があるのか」「年金はいくらもらっているのか」といったことや、「子供・家族からはどれくらい支援が可能か」「現在の家はどうするのか」について、話し合う必要があります。お金の問題は「その時になれば考えよう」「足りなくなれば、みんなで相談しよう」と後回しにすると、必ずトラブルとなります。
現在の年齢からある程度余命は想定できます。余裕をもった資金計画が必要です。


~高齢者住宅の情報収集・資料集め~

ここから、実際の高齢者住宅選びがスタートします。
まずは、情報収集です。
インターネットの普及でほとんどの有料老人ホームは、ホームページを開設しています。
契約書や重要事項説明書、決算書まで表示しているところもあります。施設長やスタッフがイベントの日記ブログを書いているところもあり、その高齢者住宅の雰囲気や管理者の人となりがわかりますし、情報発信・情報開示に対する意識をはかることもできます。
入居を希望するエリア(地域)と、おおよその支払可能額が決まれば、その地域内にある高齢者住宅の情報を、できるだけ多く集めましょう。地域ごとに高齢者住宅の一覧がわかる情報サイトもたくさんありますし、パンフレットを一括請求できるものもあります。
サ高住については、登録制度によって各市町村が公開しています。

必ず手に入れるものは、「パンフレット」「契約書」「重要事項説明書」の3つです。
この情報発信は、事業者の情報開示、ディスクロージャーの意識を図る上で、重要なポイントです。
入居後に「聞いた話と違う」というトラブルが多発しており、国も自治体も事業者に対して、積極的に情報発信をするように求めています。特に「重要事項説明書」は事業所選びの基礎となる書類です。
しかし、「契約が決まってからお渡しします」「見学・相談時でないと渡せない」などと、情報開示に消極的なところもあります。それはコンプライアンス違反ですし、逆に言えば、事前に見られては困る、他の事業者と比較されては困るということです。
その時点で、理由の如何を問わず、その高齢者住宅は入居対象の検討リストから外しましょう。


~高齢者住宅の横断的・比較検討~

資料が送られてくると、すぐにでも見学に行きたいところですが、その前に資料の内容を理解し、比較検討することが必要です。その資料として有効なのが、先に述べた「重要事項説明書」です。
これは、その名の通り、サービス内容・価格などの重要事項が記入されたもので、項目・様式が統一されているため、事業者のサービス内容・価格帯などを横断的に比較することができます。
見学する前に、建物設備の中身や介護サービスの内容、月額費用やその他必要となる費用など、重要なポイントはすべて把握できるのです。

なぜ、できるだけたくさんの事業者から資料を取り寄せることが必要かと言えば、一つの事業所だけではわからないことも、比較すればその優劣が見えてくるからです。
例えば、介護付有料老人ホームの重要事項説明書にはサービス内容や介護スタッフの数だけでなく、定員数と男女別・年齢別・要介護度別の入居者数、入居率、更には介護スタッフの有資格者数や離職状況まで書かれています。比較によって「ここは重度の要介護高齢者が多いな」「介護福祉士などの有資格者の数が多いな」「辞めている介護スタッフが多いな」ということがわかるのです。

それはサービス内容だけではありません。懇切丁寧にわかりやすく書いてあるところもあれば、「作成日が一年以上前」「内容も薄っぺら」というところもあります。中には、退職した管理者や施設長の名前のまま・・という杜撰な重要事項説明書もあります。
そこから、事業に対する真剣さ、資質というものが透けて見えるのです。また読んでもわからないことや、不安なことがあれば、それを質問すればよいのです。何も中身を検討せずに、見学に行くのと、しっかりと中身を精査、比較検討していくのとは、まったく違うということがわかるでしょう。


~高齢者住宅の見学・説明・相談・質問~

資料の比較検討の中で、疑問点や聞きたいポイントが整理できれば、いよいよ見学です。
最初はできるだけ多くの高齢者住宅を見学し、サービス内容等の疑問点について質問します。
その上で、見学で得た情報を整理し、入居希望の事業所を絞り込んでいきます。

高齢者住宅の見学は、建物設備を「見て回ること」ではありません。
その目的は、

① 建物設備が本人の生活に合致しているか確認すること
② セールスポイントや生活上の注意点について事業者から説明を受けること
③ 本人・家族から新しい生活の希望や生活について相談すること
④ わからないことや不安なことを質問すること
⑤ 他の入居者をみて、実際の生活をイメージすること

の四点に分かれます。どれもすべて重要ですが、特に③④が重要です。
ここまで述べてきた、事前の基礎知識・状況把握・情報収集・比較検討など何の準備もないまま、「百聞は一見に如かず」と見学しても、何の意味もないということがわかるでしょう。

ただ、入居者本人が要介護状態の場合は、一緒に多くの高齢者住宅を回ることは、精神的にも身体的にも大変です。本人と一緒では、聞きにくいような質問や相談もあります。だからといって、生活する本人が入居契約まで見ていないということでは、本人の意見が反映されず不安を大きくさせることになります。
そのため、一度見学して、気に入った所には、契約までに少なくとも、もう一度見学することをお勧めします。一度目は家族だけで、いくつかの条件に合った高齢者住宅を見学し、絞り込んだ上で気に入った事業所が見つかれば、本人と一緒に、もう一度見学すれば多くの発見があります。

 

以上、5つのステップを挙げました。
これが、高齢者住宅選びの基本的な流れです。
きちんと手順を踏んで探せば、そう難しいことではありません。必要な期間は1~2ケ月程度、家族が仕事をしながら探すなど、余裕を見ると2~3ケ月というところでしょうか。
マンションや一戸建ての家を探すときも、同じような手順を踏み、それ以上の期間をかけるでしょう。
高齢者住宅は、人生最後の大きな買い物です。
何よりも、心と時間に余裕をもって、しっかり、じっくり探すことが必要です。

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